今回は、地熱発電を巡る動きを取り上げる。米シェブロンがインドネシアやフィリピンで展開していた地熱発電関連の資産を売却するほか、大手ゼネコンの大林組がこのほど、ニュージーランド(NZ)の地熱発電開発の最大手MBセンチュリーと、地熱発電にかかわる5年間の相互協力協定を締結した。(写真は大林組とMBセンチュリーが協定締結後、駐日ニュージーランド大使館で記念撮影したもの。同社のHPから)
シェブロンは3月、インドネシアとフィリピンで手がけていた地熱発電にかかわる資産30億ドル相当の売却について公開入札を実施した。4月6日付のサイト『アップストリーム』が報じた。入札には、仏エンジー、丸紅とメドコ・パワー・インドネシアの企業連合、フィリピンのアボイティズパワー、タイのバンプーパワーなどが名乗りを上げるとみられている。入札対象となるのは、シェブロンがインドネシアのランプン州西部とジャワ島にある地熱関連の資産のほか、フィリピンでは地熱開発会社であるフィリピン・ジオサーマル・プロダクション(PGP)の株式40%が売却対象となっている。
ところで、インドネシアのエネルギー鉱物資源省によると、同国の地熱による発電能力は29ギガワット(GW)で、その5%に相当する1.3GW分がジャワ島、北スマトラ州、北スラウェシ州で発電されている。一方、地熱発電量と発電能力で、フィリピンは米国に次ぐ世界第2位(2014年ベース)という。
他方、大林組は4月15日、ニュージーランドで地熱発電開発を手がける最大手のMBセンチュリーと、地熱発電にかかわる5年間の相互協力協定を締結したと発表した。両社は今後、地熱資源の調査や発電業務などを通じて人材交流や情報交換、技術協力を進める予定だ。MBセンチュリーはこれまで、250本を超える地熱井の掘削作業を実施し、同国で最大の掘削会社という。
今回の協定は、MBセンチュリーから大林組に対し、駐日ニュージーランド大使館を通じて、相互協力関係の構築の申し入れがあったそうだ。大林組が地熱発電で海外企業と協定を締結するのは初めてという。同社はこれまで、再生可能エネルギー発電事業で、太陽光発電を中心に取り組んできたが、今後は風力、バイオマス、地熱など、新たなエネルギー発電事業にも注力していくとしている。