石油輸出国機構(OPEC)は30日、ウィーン本部で定例総会を開催する予定だ。市場関係者の多くは、臨時総会(9月28日)で暫定合意した協調減産が最終合意に至るのかに注目する。リム情報開発はこのほど、定例総会の見通しについて、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの芥田知至・主任研究員(=写真)に聞いた。
-11月30日のOPEC総会で協調減産に合意できるのか?
9月28日に日量3,250万~3,300万バレルの減産で暫定的に合意しているので、(減産幅はともかく)何らかの合意に至るだろう。イラン、イラクのように減産に消極的な国々があり、最後まで予断を許さないという状況だが、OPEC加盟国はイラン、イラクといった国々の増産にある程度の理解を示している。
-ロシアなどOPEC非加盟国の動きは?
OPECはOPEC非加盟国に日量50万~80万バレルの減産を要求しているといわれている。ロシアはOPECが減産するなら、増産を凍結するだろう。ただ、減産は難しいとしており、増産の凍結程度に落ち着くのではないか。
-そうなれば、サウジアラビアなどが大幅減産を強いられるのではないか?
協調減産に失敗して、原油相場が下落するリスクを考えれば、イラン、イラク、リビア、ナイジェリアが増産したとしても、サウジなどの湾岸産油国は減産を受け入れるだろう。サウジは(国営石油会社)サウジアラムコの新規上場に向けて株式の発行収入を確保したいと考えている。原油相場が上がれば上がるほど、サウジアラムコの(企業)価値が高まるため、なるべくいまの水準よりは高い原油相場を指向している。
-減産合意した場合、需給に対する影響は?
需要は毎年増えていくので、減産幅が大きくなくても生産量を抑制できれば、原油需給は徐々に引き締まっていくだろう。目先すぐは難しく、引き締めには来年いっぱいかかるかもしれない。
-WTI原油相場への影響は?
減産合意があれば、当初はこれを好感し(1バレルあたり)50ドル台半ばくらいまで上昇する可能性がある。その後は減産の効果、産油国が減産を順守するのかについての懐疑的な見方が出てくると思うので、(年内には)再び上値が重くなるだろう。40ドル台後半~50ドル台前半くらいの水準に落ち着いて、来年後半にかけて50ドル台半ば程度に上がっていくとみている。60ドル台には乗せにくい。60ドルに迫ると、アメリカのシェールオイルで増産が意識される。シェールの生産は普通(在来型)の油田と比較して早く増やせる。
㊟ インタビューは11月25日に都内で実施した。