ブラジル国営石油会社であるペトロブラスの業績悪化が続いている。純損失が膨らむ中、同社は保有する資産の売却を進める一方、民間企業への開放政策を推進することで、外資系企業による投資の促進を期待できるとしている。

ペトロブラスの2016年第3四半期(7~9月期)の業績は、164億6,000万レアル(約49億ドル)の純損失だった。前年同期は純損失が約38億レアルだったため、業績悪化が一段と進んだ。同社では、上流・下流部門で展開するプロジェクトにかかわる評価損が47億ドルに膨らんだことや、為替相場の大幅な変動が、業績回復の足かせになったと分析している。

業績が悪化する中、光明も差し始めている。英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルの幹部がこのほど、ブラジルの石油産業に今後15年間で100億ドルを投資する計画であると表明した。11月10日付の『ロイター通信』によると、ブラジル政府は、石油産業について民間企業に開放した結果、外資系企業による投資機会が増えるとみているようだ。シェルは今後、2017年に実施される見通しの石油関連プロジェクトの入札や、ペトロブラスの子会社で、ブラジル最大の燃料小売販売会社(BR Distribuidora)の株式取得を目指すとみられる。

一方、ペトロブラスは10月27日、サントス海盆のプレソルトにあるリブラ鉱区に浮体式の生産・貯蔵・出荷設備(FPSO)を3基導入し、2020年に原油生産を開始することを明らかにした。原油生産量は日量12~18万バレルで、2023年までにFPSOを1基追加する計画という。また、二酸化炭素(CO2)含有量が多いため、ガス再注入による掘削活動を検討している。リブラ鉱区は、リオデジャネイロ沖合約200キロメートルに位置し、権益比率はペトロブラスが40%、シェルと仏トタルが各20%、中国石油天然ガス集団(CNPC)と中国海洋石油(CNOOC)が各10%となっている。

このほか、ペトロブラスは11月1日、石油化学にかかわる資産売却でメキシコのアルペックとの交渉が順調に進んでいると表明した。売却対象は、ブラジル石化のシテッピ(本社:ペルナンブコ州レシフェ市)などが有力視されているという。