今回は、中東地域(レバノン、シリア、ヨルダン)を中心とする最近のエネルギー開発動向を取り上げる。海洋鉱区の開発をめぐり、レバノンとイスラエルとの間で軋轢が生じているほか、内戦で破壊されたシリアのインフラ整備にロシアが乗り出すことが判明している。(国旗はレバノン)
レバノンの石油相は2月初旬、レバノン沖合の探鉱開発を予定どおり進めると発表した。サイト『ファーズ』によると、2017年12月に実施された入札で、仏トタル、イタリア炭化水素公社(ENI)、ロシアのノバテクで構成されるコンソーシアムが2鉱区を落札した。ただ、イスラエル国防相は、これら鉱区は同国領内に帰属し、レバノンによる開発は侵略行為として国連に訴えているという。
ロシアのエネルギー相は1月末、シリア電力相との間で、エネルギー分野における協力関係の構築を目指す工程表に合意したと発表した。シリア内戦で破壊されたエネルギー関連施設の復興、近代化工事などが含まれるという。
ヨルダンのエネルギー省とイラクの石油相が2月初旬、原油パイプラインの建設に合意した。サイト『ヨルダン・タイムズ』などによると、ヨルダンのアカバとイラクのバスラを結ぶ送油管プロジェクトで、イラク産原油をヨルダン経由で輸送する。一部、ヨルダンも輸入するとしている。
このほか、三井物産は1月22日、米発電大手のAESとともに、ヨルダンで独立系発電事業(IPP)案件を受注したと発表した。ヨルダンでの案件受注は、三井物産にとり3件目となるという。AESとの合弁発電会社を通じ、プロジェクトファイナンスで約46億円を調達した。合弁発電会社は今後、首都アンマンの東約25キロメートルに位置するアルマナカ地区に出力約52メガワット(MW)の太陽光発電所を建設し、20年間にわたり、ヨルダン国営電力公社(NEPCO)に全量を売電する。2019年の商業運転開始を目指す。