今回は、東南アジアのタイにおける最近のエネルギー開発動向を取り上げる。

タイ国営(PTT)の探鉱・生産子会社であるPTTEPは1月26日、2017年の決算を発表した。純利益は5億9,400万ドルで、16年の3億7,200万ドルから60%増となった。コスト削減が寄与したという。PTTEPは2018年、タイランド湾のソンクラ沖合約180キロメートルに位置するボンコットや、エラワンの両天然ガス田の鉱区に入札し、原油・天然ガス埋蔵量を増やす計画という。

他方、300億ドル規模の資産売却計画を進める、英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルは1月31日、タイのボンコット天然ガス田に保有する全権益をPTTEPに売却すると発表した。売却額は7億5,000万ドル。2018年第2四半期に売却手続きを終える予定だ。売却後の権益比率は、PTTEPが66.7%、仏トタルが33.3%となる。

1月23日付のサイト『リーダー』などによると、タイのサイアム・セメント・グループ(SCG)が、ベトナムでの石油化学プロジェクト「ロンソン・ペトロケミカルズ」(LSP)の全権益を取得する方向で検討していることが分かった。オレフィンの生産能力160万トンのプラントをLSPインダストリアル・パーク(ベトナム南部のバリア・ブンタウ省)に建設する計画で、2022年の稼働を予定する。投資額は現時点で54億ドルとされる。SCGは2017年7月、LSP石化プロジェクトへの投資を決定したと発表済みだ。

このほか、タイ国営のPTTグローバル・ケミカル・パブリック(PTTGC)は、同国ラヨン州のマプタプット工業団地で計画するオレフィンプラント建設に最終投資決定(FID)を下した。1月23日付のサイト『オイル&ガスジャーナル』によると、プラントの製造能力は、エチレンが年間50万トン、プロピレンが同25万トンで、投資額は9億8,500万ドル。2020年に商業生産を開始する予定だ。プラントの完工によって、PTTGCのオレフィン製造能力は、年間298万8,000トンから373万8,000万トンに引き上げられる見通しという。