商船三井が新造した北極海での液化天然ガス(LNG)船「ウラジミール・ルサノフ号」が2017年末、韓国南部の巨済の造船所で完成し、当地で記念式典が行われた。北極海航路での定期運航で世界初となる砕氷LNG船は、18年3月から輸送を開始する。ルサノフ号は全長299メートル、幅50メートル、砕氷能力は最大で厚さ2メートルほどで、LNG約17万立方メートルの輸送が可能という。ロシア政府が進める北極圏のヤマル半島で開発を進めるLNG基地から主に中国向けに運航する。
他方、韓国では2017年末から政府高官のアラブ首長国連邦(UAE)訪問が、物議を醸している。文在寅(ムン・ジェイン)大統領の側近とされる人物が、大統領特使としてUAEを訪問した際、その目的が文政権の脱原発政策に対するUAE側の誤解を解くものとしてメディアを賑わした。韓国は現在、韓国電力公社(KEPCO)などで構成されるコンソーシアムが、UAEのアブダビにバラカ原子力発電所を建設中という。
文大統領は政権発足後、脱原発政策を打ち出した。これを受けて、バラカ原発の完成が韓国サイドの事情で遅れるとの見方が広がった。また、2兆ウォン(約2,100億円)の補償金支払いを求められているなどとする一部報道もあり、側近のUAE訪問はこれらの諸問題に対応するものと受け取られたようだ。コンソーシアムは2009年、UAEから原発4基の建設を受注、2020年の完成を目指す。1号機は18年初めに完工する予定だ。一連の疑惑に対し、大統領府(青瓦台)は否定している。
このほか、12月22日付の『中央日報』(日本語版)は、南米大陸における韓国と中国との資源争奪戦について報じた。それによると、スマートフォンや電気自動車(EV)などの素材となるリチウムなどに関連し、中国企業がチリなどで積極的なビジネスを展開しているのに対し、韓国企業は撤退が相次ぐなど、対照的な展開となっているとした。
同紙によると、2016年の韓国政府による新規資源開発事業は1件もなかったという。10件の新規事業はいずれも民間企業だった。また、政府の開発支援予算も大幅に縮小されたという。一方、中国政府や企業は年間ベースで700億~800億ドル程度の投資水準を保っているとされ、南米大陸における資源争奪戦で韓国と中国との明暗がはっきりと分かれたとしている。