近年の原油安局面に加え、イランやカタールとの国交断絶、レバノンやイエメンとの対立激化、サウジ王室関係者の逮捕など、サウジアラビアの国内外を取り巻く情勢が混迷の度合いを深めている。こうした状況下、サウジ政府は財政赤字を削減し、経済立て直しの目標達成の期限を当初予定していた2020年から2023年に延期するとの見方が出ている。サウジの財政事情の悪化を踏まえ、サウジ国営石油会社であるサウジアラムコの新規株式公開(IPO)も先送りされるとの憶測も広がる中、最近のサウジのエネルギー分野における動向を取り上げる。

サイト『ニュー・ストレーツ・タイムズ』などによると、マレーシア首相府は11月初旬、RAPIDプロジェクトへの出資条件をめぐり、サウジアラムコとマレーシア国営ペトロナスとの間で意見の相違がみられるため、政府としてこのプロジェクトを支援すると表明した。RAPIDは、マレーシア政府が同国のジョホール州で進める大型石油精製・石油化学コンプレックス(複合施設)プロジェクトである。

サウジアラビアの石油化学会社であるサダラケミカルは11月28日、バーレーンのガルフ・インターケムと、サウジ東部のジュバイルにあるサダラが運営する石油化学コンプレックス(複合施設)の至近距離に副産物プラントを建設することに合意したと発表した。副産物から防錆剤や接着剤、潤滑剤などの原料を製造する計画という。

このほか、サウジアラムコがマッカ州のジッダ製油所(精製能力は日量9万バレル)を閉鎖したとの情報が伝わる。11月19日付の『ロイター通信』によると、ジッダ製油所は1967年に操業を開始。サウジアラムコは老朽化と環境汚染問題から製油所閉鎖を検討していたという。

ところで、サウジアラビアのザカート・租税庁(GAZT)は11月20日、燃料に付加価値税(VAT)を課税する方針であることを明らかにした。サイト『サウジ・ガゼット』などによると、2018年1月から施行し、税率は標準燃料で5%になる見通しだ。