アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国営石油会社(ADNOC)は11月13日、燃料小売り事業の子会社であるADNOCディストリビューションの株式10%程度の売却を検討していると発表した。ニュースリリースによると、ADNOCディストリビューションは、UAE国内で360カ所の給油所、235カ所のコンビニエンスストアを運営しているという。
他方、ADNOCは11月14日、中国石油天然ガス集団(CNPC)とアブダビ沖合の海洋鉱区(ローワー・ザクムなど)の開発に合意したと発表。上流事業での開発を急ぐADNOCは2017年2月、傘下のアブダビ陸上石油操業会社(ADCO)が保有する陸上鉱区の権益8%をCNPCに売却することに合意していた。
このほか、パキスタンのパク-アラブ・リファイナリー(Parco)は、UAEのアブダビ政府とともに、ムバダラ開発公社を通じて製油所(精製能力は日量25万バレル)の建設を計画しているという。投資額は60億ドルとされ、2023年までの稼働を計画している。11月15日付のサイト『ガルフ・ニュース』などが報じた。
米エネルギー情報局(EIA)によると、2017年1月現在、UAEの原油確認埋蔵量は世界第7位の978億バレルで、このうちの約96%がアブダビ首長国に存在する。UAEでは、新しく発見される原油埋蔵がないため、増進回収法(EOR)と呼ばれる技術によって、成熟油田での増産活動が行われているという。2016年の原油類の生産量は日量370万バレルで、原油が同290万バレル。原油の輸出量は日量250万バレルで、アジア向けが主流となっている。UAE国内には4つの製油所があり、総精製能力は日量110万バレル。
一方、UAEの天然ガス埋蔵量は215兆立方フィートで、世界第7位(2017年1月現在)。ただ、2008年に天然ガスの純輸入国となった。2015年の天然ガス生産量は2兆立方フィート。輸入量が9,570億立方フィートに対し、輸出量は4,660億立方フィート。天然ガスの消費量は約2兆5,000億立方フィートで、EORで使用される油田への再注入、発電、海水淡水化が主な用途となっている。
ところで、ADNOCは11月半ば、人工知能(AI)センター「パノラマ」の開所式を実施したと発表。センターでは今後、最新のAI機器を使用し、データの取得・解析作業を進め、エネルギー分野を含め、迅速な意思決定につなげるための情報提供を行っていく予定という。