イラン核合意の履行をめぐり、米国との関係が悪化する中、イランのザンギャネ石油相は10月半ば、米エネルギー企業とイラン国内の石油・天然ガス開発協議で期待感を表明した。トランプ米大統領は7月、イランが核合意を履行していないとして、新たな対イラン制裁法案に署名した。イラン政府関係者はこれまで、米エネルギー企業と水面下で交渉している事実を明らかにしていたものの、米政府による対イラン強硬策で両国間のビジネスに進展がみられないのが実態だ。

他方、イランのハマダーン・イブン・スィーナー石油化学とイタリアのメイレ・テクモントが10月末、イラン国内で計画する石油化学プロジェクトの開発に合意したと発表した。イブン・スィーナーが石化コンプレックス(生産能力は年間26万6,000トン)にメイレの最新技術を採用するという。施設の建設予定地は、イラン・ブーシェフル州のアサルーイェ。

イランのサウス・パース・オイル&ガスカンパニーの首脳は10月末、サウス・パース天然ガス田のフェーズ11を除く開発作業が85%完了し、今後1年半で完工するとの見通しを示した。このプロジェクトは、ガス生産井413井、海洋プラットホーム40基、パイプライン(全長約1,500キロメートル)、石油精製プラント13基を建設する大規模な計画となっている。

このほか、イランのペルシャン・ガルフ・スター製油所(全3フェーズ)の建設プロジェクトに関連し、第2フェーズ以降の建設に10億ドルの追加資金が必要との見方が広がっている。全3フェーズが完成すれば、イランはガソリン輸入を大幅に減らすことができるとされる。

ところで、ウガンダ政府がイランとのエネルギー関係を強化している。10月25日にウガンダの首都カンパラで開催されたウガンダ・イラン投資フォーラムで、イランのザンギャネ石油相がウガンダへの投資を促進する意向を示したという。同日付の『AP通信』によると、ウガンダ側は、国内の原油・天然ガスなどの資源開発や、エネルギー、インフラ関連の民間投資を歓迎する考えを伝えたようだ。