エネルギー分野で中国とサウジアラビアとの関係強化が加速している。中国はサウジアラビア国営のサウジアラムコが予定する新規株式公開(IPO)を睨み、サウジへの接近を図っているとの見方がある。

8月24日、サウジアラビアのジッダで、サウジアラビア-中国投資フォーラムが開催された。このフォーラムは、両国の共同投資の拡大に向けたハイレベル会合に合わせて行われた。この中、サウジアラビアのファリハ・エネルギー相は、中国との協議で200億ドル規模の投資ファンドを立ち上げ、共同運営する計画を明らかにした。折半投資で、ファンドの一部は元建てとすることなどが決まったという。

また、サウジアラムコが今夏、中国石油天然気(ペトロチャイナ)と雲南省・安寧製油所(精製能力は日量26万バレル)の株式取得で交渉しているという。国際報道によると、サウジアラムコは安寧製油所の権益30%以上を得る方向で調整している。買収額は約20億ドルとされる。ペトロチャイナは、サウジアラムコが2018年にも予定する新規株式公開(IPO)に関心を寄せているとされる。

他方、サウジアラムコはこのほど、中国海洋石油(CNOOC)向けに原油を初めて輸出した。サイト『トレード・アラビア』などによると、原油は広東省の恵州製油所(精製能力は日量25万バレル)に到着したという。この製油所は、精製能力の拡張プロジェクトで中東産の高硫黄原油を処理できるようになったそうだ。

このほか、国営電力会社のサウジ・エレクトリシティ(SEC)が、中国工商銀行(ICBC)から15億ドルの融資を受けたことが判明している。『新華社』(電子版)によると、返済期限は5年とし、資金をSECの投資プロジェクトに充てるという。

エネルギー分野で中国がサウジアラビアとの関係強化を急ぐ理由について、国内の石油アナリストは「安寧製油所の権益売却の件を含め、中国はアラムコIPOで有利な関係をいち早く築き上げたいのだろう」との見方を示している。