今年7月初旬、キプロス統合に向けたトルコとギリシャとの協議が行われ、当事国であるキプロス共和国のアナスタシアディス大統領がトルコによるキプロス北部に展開する軍隊を引き上げることを再交渉の条件としたことで、話し合いは決裂した。こうした状況下、仏トタルがギリシャ系キプロス共和国の認可のもと、キプロス沖合での掘削活動を開始する方針を示したことに対し、トルコのエルドアン大統領が反対の意を表明した。キプロス統合問題が一段落しなければ、トタルの開発事業にも支障が生じる恐れが出てきた。

 一方、トルコの石油管理当局によると、同国の炭層メタン(CSM)埋蔵量が1,300億立方メートルであることが判明した。金額ベースで、370億ドルに相当するとされ、トルコ経済に寄与すると期待される。トルコ国内最大の通信社『アナドル通信』が7月半ばに報じた。

 また、トルコのユニット・インターナショナルは815日、イランの石油・天然ガス開発に関連して、ロシア国営石油会社のザルベジネフチとイラン系投資会社であるガディール・インベストメントと合意したと発表した。ユニットら3社は総額70億ドルを投資するという。3つの油田と1つの天然ガス田を掘削する見通しだ。3油田の総埋蔵量は100億バレルで、生産能力は日量ベースで10万バレルとされる。天然ガス田の生産能力は年間750億立方メートル。ユニットによると、イランの民間エネルギー企業が外資系企業との共同開発に合意したのは、今回が初めてのケースとしている。

 このほか、ジェイコブズ・エンジニアリング・グループは810日、トルコの石油精製会社(TUPRAS)のイズミット、イズミル、クルッカレ製油所に硫黄回収プロセス(EUROCLAUS)を提供すると発表した。TUPRASは高硫黄原油の処理能力を増強し、SO2排出量の削減を図るようだ。一方、ジェイコブズはライセンシング、基礎設計、運転開始の補助役務を提供するとしている。

 ところで、米エネルギー情報局(EIA)818日、世界における石油海上輸送のチョークポイント(渋滞地点)にかかわるレポートを発表した。その中、2016年にトルコのボスポラス、ダーダネルス両海峡を通過した原油・石油製品量は日量240万バレルで、そのうちの80%を原油で占められたと報告している。