今回は、ブラジルを除く南米大陸におけるエネルギー事情について、今夏に報道されたニュースを中心にベネズエラのほか、アルゼンチン、エクアドル、ボリビアの動向を取り上げる。(国旗はアルゼンチン)
アルゼンチン国営YPFは8月2日、電力会社パンパ・エネルギアの石油生産販売子会社であるペトロレラ・パンパとの間で、ネウケン州Rincon del Mangrullo鉱区のシェ―ルガスを1億5,000万ドルで共同探査することに合意したと発表した。同鉱区はネウケン州中部・東部に位置し、面積は183平方キロメートル。現在、116井でシェールガスを日量500万立方メートル生産している。
他方、アルゼンチン国営YPFは、メンドーサ州にあるルジャン・ド・クヨ製油所(精製能力は日量11万バレル)の近代化工事を計画する。原油常圧蒸留装置(トッピングⅢ)の処理能力を増強するとしている。7月7日付のサイト『マーケッツ・インサイダー』などによると、投資総額は1億1,400万ドルという。
トランプ米政権による対ベネズエラ経済制裁の影響で、米国向けに輸出されていたベネズエラ産原油がアジア諸国に向かうとの観測が広がっているという。8月15日付の『ロイター通信』は、ベネズエラ原油の大口輸入国である中国とインドが輸入量を増加し、他のアジア諸国もベネズエラからの原油輸入を増やすという関係者の見方を報じている。
エクアドルのカルロス・ペレス石油相は8月半ば、国営石油会社(ペトロエクアドル)が運営するエスメラルダス製油所(精製能力は日量11万バレル)に関連し、ガソリン生産用の接触分解装置が深刻な問題を抱えているため、補修工事で今年中に45日間停止することを明らかにした。、韓国のSKエンジニアリング&コンストラクションや豪ウォーリー・パーソンズが、2013年にこの製油所の近代化工事を計20億ドルで受注したという。
このほか、ボリビアとロシアとの関係強化が伝わる。ボリビアのフェルナンド・ママニ外相とロシアのラブロフ外相は8月半ば、両国がエネルギー分野の協力を拡大することに合意した。『タス通信』(8月16日付)によると、天然ガス、原子力、石油化学、再生可能エネルギーなど幅広い分野で協議が行われたという。