今回は、バイオ燃料や水素事業分野での動きを取り上げる。米国企業や大学、研究機関による開発推進が目立っているようだ。
米ミネソタ州政府は8月初旬、2018年5月から夏季にバイオディーゼルを20%配合する「B20」基準を州全域の給油所で実施する方針であると発表した。10月にB5に戻り、19年から4月から9月までの間、B20になるとしている。同州のバイオディーゼルは大半が州内で生産される大豆が原料となる。同州政府は、バイオディーゼル産業が年間ベースで17億ドルの経済効果をもたらすと試算する。
米バイオケミカル会社のヴェルデジンは今年7月末、マレーシア南部で再生可能ケミカルプラント「ヴェルデパーム」の起工式を行ったと発表した。ヴェルデジンは、初期段階で発酵プロセスによるドデカン酸(DDDA)の製造に着手するとしている。原料は非食料系のバイオマス。最終的にDDDAを防錆剤「フェロシールド」の原料に使用する見通しだ。
米アメティスは8月4日、InEnテック社からセルロース系エタノールを製造するためのガス化技術にかかわる2024年までの独占使用権を取得することに合意したと発表した。アメティスは、InEnテックのガス化技術と、ランザテックの微生物発行技術と合わせ、バイオマスからセルロース系エタノールを製造している。今後、それをさらに進展させるとみられている。
このほか、米エクソンモービルとウィスコンシン大学マディソン校は今夏、バイオマスから輸送用燃料を製造するプロセスを開発する目的で共同研究の契約を更新した。7月17日付のサイト『ペンエナジー』によると、双方は過去2年間、セルロース系バイオマスから燃料を製造する研究をしてきたという。バイオマスと溶剤を使い、燃料向けの分子をつくるプロセス開発を目指す。
一方、水素・燃料電池分野では、米国陸軍研究所(ARL)の研究者がアルミニウムナノ材料を開発したと発表。ARLがこのほど開発したナノ材料は、触媒が不要という。ARLによると、3分間で計算上、1キログラムあたり220キロワット(kW)を発生すると同時に、熱量も生じると説明する。