世界各国でクリーンエネルギーの導入に向けた取り組みが加速している。今回は、英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルの動向のほか、欧州や中国における最近の動きを取り上げる。(写真はイメージ)
ロイヤル・ダッチ・シェルは8月1日、同社の子会社であるシェル・テクノロジー・ベンチャーズ(STV)と、シンガポールのサンシープ・コープがアジア太平洋地域におけるソーラー発電プロジェクトの推進で合意し、STVがサンシープに出資したと発表した。サンシープは今年5月、ソーラー発電事業を拡大する計画を発表済みだ。
ところで、シェルのベン・バン・ブールデン最高経営責任者(CEO)は、『ブルームバーグTV』とのインタビューで、世界の輸送部門で電化が加速しているため、各国政府の政策立案や技術イノベーションが順調に進めば、2030年代初めに石油需要がピークアウトするとの見通しを示した。シェルはこれまで、クリーンエネルギー時代の到来を見越して2020年までに新エネルギー事業に年間で最大10億ドルを投資すると表明している。
ドイツのカールスルーエ工科大学(KIT)は8月8日、SOLETAIRプロジェクトで、太陽光発電電力と大気中の二酸化炭素(CO2)から合成燃料「200L」の試作に成功したと発表した。2016年に発足したSOLETAIRプロジェクトは、フィンランドやドイツの工科大学や研究所などが合成ガスから燃料を製造する研究を進めている。
一方、中国では、国務院の付属機関である環境保護部が8月4日、82業種を対象に汚染物質排出にかかわる認可制度を実施すると発表。対象業種となる企業は、2020年までにライセンスを取得する必要があるとした。汚染物質の排出場所、排出方法、排出濃度などの上限が規定される。違反企業に対し、中国当局は100万元(約15万ドル)以下の罰金や、業務停止などが課されるとしている。
また、8月4日付のサイト『チャイナ・デイリー』などによると、中国長江三峡集団が計画する白鶴水力発電所の建設工事が開始したという。建設場所は長江の支流にあたる金沙江の下流で、発電能力は世界第2位となる62ギガワット(GW)を予定している。2022年に稼働する見通しだ。