今回はバイオ燃料にかかわる世界各地での動きを紹介する。バイオ関連企業をはじめ、英米の大学で研究開発が進んでいるようだ。

 インドのプラジ・インダストリーズと米バイオ燃料開発会社のゲーボは7月末、バイオイソブタノール製造プロセスをサトウキビ製造業者に提供すると発表した。2015年に共同技術開発に合意した両社は、プラジがインド国内にある研究開発センターで、ゲーボが保有するバイオイソブタノール製造技術について、トウモロコシ以外の原料に適用する技術を開発済みという。

 他方、カナダのシエロ・ウェステ・ソリューションズは720日、アルバータ州レッド・ディアにあるバイオディーゼル実証プラントの拡張工事にリンコープ・マニュファクチャリング(アルバータ州)を採用したと発表した。バイオディーゼルの製造能力を改造した後、シエロはプラントを設置する。なお、原料は都市ゴミ、製材廃棄物、古タイヤなどを使用する。

 英ケンブリッジ大学の研究チームが7月下旬、バイオや再生可能エネルギー向けの意思決定支援ツール(DST)を開発したと、サイト『グリーン・カー・コングレス』(718日付)が報じた。それによると、バイオ系廃棄物から医薬中間体や樹脂原料に用いられる「テルペン」を製造するプロセスの最適化などを実証しようと試みるという。

 また、米バーモント大学は7月半ば、バイオディーゼルを配合した燃料が石油系ディーゼルに比べ、排ガスに含まれる粒子状物質(PM)の単位重量あたりの毒性が5080%少ないとする研究結果を専門誌に発表。これまで、バイオと石油系でディーゼルの排気ガスの毒性の違いは明確ではなかったという。

 このほか、米エネルギー情報局(EIA)721日、201716月の米国における燃料用エタノール生産量が、前年同期比5%増の日量102万バレルだったと発表した。EIAはまた、操業が可能なエタノールプラントの製造能力が前年比で6億ガロン(4%)増加し、全米に200近くあるエタノールプラントの大半が設置される米中西部での増加が目立つと報告した。