今回は、ブラジルにおける最近のエネルギー事情を取り上げる。国営石油会社のペトロブラスが、国内外で保有するいくつかの権益売却のほか、子会社の新規株式公開(IPO)、製油所の能力拡大にかかわるプロジェクトの関連情報が伝わる。
ペトロブラスは7月6日、ブラジルのカンポス海盆にあるマロンバ油田の権益70%を売却すると発表した。『ロイター通信』などによると、マロンバ油田は、ペレグリノ鉱区とパパ–テラ油田近くの浅海に位置し、現在の権益比率はペトロブラスが70%、米シェブロンが30%。
ペトロブラスはまた、パラグアイでの石油販売事業を売却すると発表した。7月7日付のサイト『ファクト・デ・ダドス』などによると、ペトロブラスの現地子会社は現在、パラグアイ国内で燃料・液化石油ガス(LPG)、潤滑油の販売業などを手がけ、サービスステーション(SS)197カ所と、コンビニエンスストア113カ所を運営する。ジェット燃料を3空港に供給しているという。
他方、ペトロブラスは7月11日、BRディストリビュードラの新規株式公開(IPO)を実施することを決定したと発表した。BRはブラジル最大の燃料小売り販売会社で、7,000カ所以上のSSを運営する。新規上場先は、サンパウロ証券取引所を予定する。
ところで、ノルウェーのスタットオイルは、子会社を通じてブラジルでの原油・天然ガス生産量を現在の3倍以上に増産する計画であることを明らにした。6月12日付のサイト『シーキング・アルファ』などによると、スタットオイルは昨年、ペトロブラスからサントス海盆の鉱区(BM-S-8)の権益66%を取得した。
このほか、ペトロブラスはブラジル北東部ペルナンブーコ州のアブレウ・エ・リマ製油所の能力増強プロジェクトに関連し、コンソーシアム(複合企業)と契約したとの情報が伝わる。ただ、コンソーシアムを構成する企業名など詳細は明らかにされていない。6月23日付のサイト『ブラジル・モニター』などによると、建設対象となるのが、排出物削減装置2基としている。アブレウ・エ・リマ製油所では、2014年に一部の装置がすでに稼働を開始し、現在、低硫黄ディーゼルなどを日量10万バレル製造しているという。