イラン石油省が管轄するサイト『SHANA』(6月20日付)によると、イラン国営石油会社(NIOC)とイタリア炭化水素公社(ENI)が、イラン国内のキッシュ天然ガス田とダルケイン油田の事業化調査(FS)を実施することに合意し、覚書(MOU)を締結したと発表した。ENIは今後、パートナー企業を選定する見通しだ。NIOCはすでに、英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェル、ロシア国営ガスプロム、イランのガディール投資会社とキッシュ天然ガス田のFS実施に関する契約を締結済みだ。また、ガディールとフィリピンの国営石油会社(PNOC)がダルケイン油田開発のFSをすでに実施しているという。
一方、イラン南部のサウス・パース天然ガス開発プロジェクトのフェーズ11に関連し、イランが仏トタル、中国石油天然ガス集団(CNPC)、イラン国営石油会社(NIOC)傘下のペトロパースの3社と契約を締結した。『AFP通信』などによると、このプロジェクトの投資額は48億ドルで、権益比率はトタルが50.1%、CNPCが30%、ペトロパースが19.9%となっている。フェーズ11の天然ガス生産量は日量18億立方フィートの予定だ。
トタルはまた、イラン国営石油化学会社(NIPC)と共同で石油化学プラントを建設することに合意した。7月4日付のサイト『テヘラン・タイムズ』によると、NIPCとトタルはイラン国内に3つのプラントを建設する予定という。また、ポリマーなどの製造能力は年間計220万トンを計画している。
ところで、インド石油ガス公社(ONGC)の海外事業子会社であるONGCビィデシュ(OVL)はこのほど、イランのファルザド-B天然ガス田(埋蔵量は19兆立方フィート)の投資額として同国政府に対し110億ドルを提示した、と『エコノミック・タイムズ』(7月3日付)が報じた。110億ドルの開発費用のうち、60億ドルが天然ガス田開発に向けられ、残りの50億ドルを液化天然ガス(LNG)輸出施設の建設に充てるとされる。
このほか、イラン国営通信『IRNA』は6月21日、イランが隣国イラクへの天然ガスの輸出を開始したと報じた。また、同日付の『ロイター通信』によると、イラクへの輸出は日量約700万立方メートルでスタートし、最終的に同3,500万立方メートルまで拡大する予定という。