今回は、世界の再生可能エネルギー事情を取り上げる。中東のヨルダンでは、アブドラ国王の肝いりでソーラー発電プロジェクトがスタートしたほか、デンマークのDongエナジーが子会社の石油・天然ガス企業をスイスの化学会社に売却する情報などが伝わっている。
ヨルダンでは5月半ば、ソーラー発電プロジェクトを開始した。投資額は約5億6,000万ドルで、太陽電池を使用する発電プラントを12基(発電能力は200メガワット〔MW〕)建設するという。5月14日のサイト『ヨルダン・タイムズ』などによると、12基の内訳は、ミーン開発地域に10基計170MW、アカバ経済特区に10MW、マフラク県ホーシャに20MWの集光式太陽熱による発電プラントを建設する予定だ。
デンマークのエネルギー会社であるDongエナジーは5月24日、石油・天然ガス開発を手がける子会社のDong E&Pの全株式を化学会社のイネオス(本社:スイス・ロール市)に総額13億ドルで売却することに合意したと発表した。Dongは昨年、石油・天然ガスといった化石燃料事業から撤退し、再生可能エネルギー事業に特化すると発表するなど注目を集めた。Dong E&Pの株式売却手続きは、当局の承認を得た上で2017年第3四半期に完了する見通しとしている。
ところで、米エネルギー情報局(EIA)は5月、米国でのソーラー発電や風力発電にかかわる関連データを公表した。まず、米国における1MW以上の発電所規模のソーラー発電(太陽電池・太陽光)能力は、2010年から16年の間に他の発電システムを上回り、年率72%の伸びを示した。全発電能力の2%に相当するという。2016年12月時点で、米国で稼働している発電所規模のソーラー発電プラントの能力は約21.5ギガワット(GW)とされ、そのうち、7.6GWは2016年に稼働したとしている。
他方、EIAによると、風力発電の能力は2016年、全米で8%を占め、水力発電を含めた再生可能エネルギー発電の中で最大のシェアを占めた。2007年以降、発電能力が増えた分の200GWのうち、約3分の1が風力発電によるものだったという。EIAは、米国で風力発電が増加している背景について、発電プラント技術の進歩、送電能力の拡大、各州のエネルギー政策、連邦政府の優遇税制などを挙げている。