ロシアでは、同国政府の幹部が、国産技術による液化天然ガス(LNG)の生産を目指すとの姿勢を示したほか、国営ロスネフチが中国への天然ガス輸出を増やす意向であることや、イタリアとの事業推進で契約するなどの情報が伝わっている。
ロシア・エネルギー省のモロツォフ副大臣は5月、2020年から22年までに国産技術によるLNGの生産を目指すとの見解を示した。5月16日付のサイト『タス通信』などによると、LNGを生産規模で年間500万トンを計画しているという。また、2020年までに海外からのLNG比率をLNG冷凍装置で現在の50%から40%へ、コンプレッサーで60%から45%へ、LNGプラントで67%から55%に引き下げるとしている。
一方、ロシア国営ロスネフチのセチン社長は5月16日、ロスネフチが毎年100億立方メートルの天然ガスを中国に輸出可能であると述べた。また、中国の都市ガス大手の中国ガスグループによるロスネフチの石油・天然ガス開発子会社(VCNG)権益の買収手続きが今後数カ月で完了する見通しを示した。同日付の『ロイター通信』が伝えた。
ロスネフチはまた、イタリア炭化水素公社(ENI)と共同事業を推進することで合意した。ロシアのプーチン大統領とイタリアのジェンティローニ首相の立会いの下で、ロシア南部のソチで調印式が行われた。両社が5月17日、発表した。対象は、開発、生産、精製、流通、マーケティング、石油化学、技術開発まで広範な分野に及ぶ。ロスネフチとENIは北極圏のバレンツ海や黒海での原油開発、エジプト沖合のゾア天然ガス田の開発・生産活動を行っている。
このほか、ロシア国営ガスプロムは5月初旬、スイスのパイプライン建設会社であるオールシーズ・グループが、ターキッシュ・ストリーム(TS)天然ガスパイプラインの建設工事を開始したと発表した。TSは、ロシア南部から黒海を経てトルコをつなぐパイプライン。ロシアは対立関係にあるウクライナを迂回してギリシャなど南欧諸国に天然ガスを輸送することが可能となる。建設工事は、2019年末までに終える予定という。