カナダでは、連邦政府によるエネルギー政策変更にかかわる情報が伝わる。ブリティシュ・コロンビア(BC)州北部の沿岸での原油タンカーの航行・停泊を禁止する法案を議会に提出したほか、パイプライン建設などのプロジェクトについて、承認手続きを見直す目的で専門委員を任命するなどのニュースが報じられている。

カナダ連邦政府は5月半ば、パイプライン建設などのエネルギープロジェクトの承認手続きを見直す目的で専門委員を任命した。サイト『エナジー』などによると、現行では、国家エネルギー委員会(NEB)がプロジェクトを認可した後、連邦政府が最終的に可否判断を行っているが、NEBに代わる評価機関の設置や、エネルギー情報庁の新設なども検討されるとしている。

他方、カナダ連邦政府は5月12日、BC州北部沿岸への原油タンカー航行・停泊を禁止する法案(C-48)を議会に提出した。サイト『CBCニュース』などによると、法案には、BC州北部沿岸に1万2,500トン以上の原油輸送、港湾施設などへの停泊のほか、原油の積み降ろし作業の禁止が盛り込まれたという。違反すると、最大500万ドルの罰金を科することも検討しているようだ。

企業関係では、カナダのサンコア・エナジーが、アルバータ州フォートマクマレーから北東約25キロメートルの鉱区で計画するオイルサンド(油砂)開発「ルイス・プロジェクト」の許可申請を今年中にも規制当局に行うと発表した。生産量は最大で日量16万バレルを見込む。ルイス・プロジェクトでは、ビチューメンを蒸気で回収する従来の手法に加え、電磁気加熱などの新技術を用いて水使用量の削減などにつなげるとしている。5月8日付のサイト『CBCニュース』などが伝えた。

このほか、カナダのペンビナ・パイプライン会社は5月15日、クウェート石油化学工業との均等出資の合弁会社(JV)「カナダ・クウェート・ペトロケミカル・コーポレーション(CKPC)」がアルバータ州スタージョン郡で計画する石油化学プロジェクトの基本設計(FEED)を行うと発表した。投資総額は38~42億ドルを見込む。プロパン脱水素(PDH)、ポリプロピレン施設の建設を計画している。