今回は南アジア諸国のエネルギー事情について取り上げる。スリランカではインド企業の進出に当該企業の労働組合が反対の意を表明したほか、米シェブロンがバングラデシュに保有する天然ガス田を中国のコンソーシアムが買収するなどの動きが伝わる。(国旗はスリランカ)
スリランカ国営セイロン・ペトロリアム(CPC)の労働組合が、インド国営石油会社(IOC)の子会社であるランカIOCがスリランカのトリンコマリー港で予定する原油貯蔵タンクの建設計画に反対している。4月23日付の『NDTV』などによると、CPCの労組は燃料価格の決定権をランカIOCに掌握される可能性が高いとして合意の破棄を求めたという。他方、IOCの関係者はロイター通信の取材に対し、84基の原油タンクのうち10基はCPCの運営になるとの見通しを述べたとしている。
一方、バングラデシュでは、米シェブロンによる事業見直しの動きが伝わる。シェブロンは4月24日、同社がバングラデシュ国内に保有する3つの天然ガス田(ビビヤナ、ジャララバード、マウルビバザール、生産量は日量計7億3,000万立方フィート)を中国のヒマラヤ・エナジーに売却する予定と発表した。ヒマラヤ・エナジーは、振華石油を中心とするコンソーシアムだ。これに対し、バングラデシュの電力・エネルギー相は、本件で入札を予定しているため、その結果が判明するまでシェブロンは売却できないとの見解を示したという。
米ハネウェルUOPは4月半ば、パキスタンのパク・アラブ・リファイナリー(PARCO)のミッド-カントリー製油所(精製能力は日量10万バレル)の近代化プロジェクトに同社製の技術を提供すると発表した。このプロジェクトは、クリーン燃料の需要増に応えるものという。
このほか、インド国営ヒンダスタン石油(HPCL)の会長は5月初め、ラージャースターン製油所のプロジェクトを再開し、2022年までに建設を完了させると発表した。精製能力は日量18万バレルで、ガソリン・ディーゼルを年間ベースで400万~500万トン生産する計画だ。