今回は「パイブライン」特集の2回目。世界各国で展開される送油管・送ガス管の建設計画などを取り上げる。(イラストはイメージ)
イスラエル、キプロス、ギリシャ、イタリアのエネルギー相は4月初旬、イスラエル沖合で産出される天然ガスを欧州方面に輸送する「メディタラニアン・パイプライン」を2025年までに建設することで合意した。
「メディタラニアン・パイプライン」は、イスラエルを起点にギリシャ、キプロスを経由し、イタリアにつながるパイプラインで、全長は約2,000キロメートル。建設費用を60億ユーロ(発表時点の為替レートで約64億ドル)と見込む。すでに企業化調査(FS)を終え、今後は建設開始に向けた作業に入る。最終投資決定(FID)は2020年の予定としている。
他方、ウクライナの国営ネフトガスとその子会社であるUkrtransgaz、イタリアのSnam、スロバキアのEustreamが、ウクライナ国内の天然ガス輸送網の協力関係の構築に向けた覚書(MOU)に調印した。Snamが4月10日、ニュースリリースで明らかにした。ウクライナの首相は、協力関係を強化することで、天然ガス市場における優位性を維持できるとの見解を示したという。
米国では、原油・天然ガス輸送会社のエンタープライズ・プロダクツ・パートナーズが4月中旬、パーミアン盆地から天然ガス液(NGL)をテキサス州にある同社の貯蔵基地などに輸送する「シン・オークNGLパイプライン」の建設計画を公表した。それによると、NGL輸送能力は日量25万バレルで、最終的に同60万バレルまで拡張する見通しだ。2019年第2四半期に稼働開始を予定する。
このほか、米エネルギー規制委員会(FERC)から承認を得た「ダコタ・アクセス・原油パイプライン」が5月半ばから他州向けの原油輸送を開始する。「ダコタ・アクセス」は、ノースダコタ州北西部からイリノイ州を結ぶパイプラインで、投資額は38億ドルとみられる。