中国企業による南アジアや中東地域へのビジネス進出が加速している。中国とミャンマーの両政府が原油パイプライン輸送に合意したほか、中国企業がパキスタンで計画される製油所建設や、中東オマーンでのメタノールプロジェクトなどに関心を示している事実が明らかとなっている。

中国とミャンマーの両政府は4月10日、両国をつなぐ原油パイプラインの輸送合意で調印した。この合意を受け、ミャンマーのラカイン州マデイ島石油ターミナルで、スエズマックス級タンカー(14万トン)の原油荷卸し作業が開始した。マデイ島を起点とするパイプラインは全長771キロメートルで、中国の雲南省につながる。今年1月末以降、このパイプラインの試運転が実施されてきた。

4月8日付のサイト『エクスプレス・トリビューン』などは、パキスタンのシンド州政府が、同州内で計画する製油所(精製能力は年間1,000万トン、日量20万バレル)建設計画に中国企業が関心を寄せていると報じた。中国の南寧ホールディングス・グループがシンド州投資庁(SBI)を訪問し、協議したという。投資額は20億ドルとみられている。

一方、中国企業による中東地域への進出も目立つ。『トレード・アラビア』などの報道によると、中国企業がオマーンにおけるメタノールプロジェクトに関心を示しているという。オマーンのドゥクム経済特区(SEZAD)で2件のメタノールプロジェクトが計画されている。天然ガスを原料としてメタノールを製造する計画で、下流事業への展開も検討されているとしている。SEZADによると、中国の2企業グループが関心を示し、そのうち、1グループはアラブ首長国連邦(UAE)に子会社を保有する企業とし、具体的な企業名は明らかにしていない。

このほか、中国石油天然ガス集団(CNPC)がドバイの経済特区(Jafza)で中東地域全体を管轄とする投資・サービス・貿易事業を行う拠点づくりに乗り出した。ドバイ政府によると、面積は5万5,000平方メートル。敷地内に事務所と石油・ガス機器保管用の倉庫が創設されるという。