今回は、バイオ燃料にかかわる最新のニュースを取り上げる。米イリノイ大学は4月6日、同大学の研究チームが遺伝子組み換え(GM)技術を利用してサトウキビの脂質を葉や茎の中に生産するとともに、糖の生産力向上に成功したと発表した。脂質はバイオディーゼル、糖はバイオエタノールの原料となる。改良品種には、1エーカーあたりで大豆に比べて5倍、トウモロコシに比べて2倍の収益性があるとしている。
カナダのエネルケムは4月11日、アルバータ州エドモントンにある廃棄物を原料とするバイオリファイナリーが、このプロジェクトに融資したインテグレィテッド・アセット・マネージメント(IAM)が求めていた操業基準をすべて満たしたと発表した。このプラントは2016年、国際認証機関であるISCCから都市ゴミを原料とするバイオリファイナリーとして世界で初めて認証を受けた。
スウェーデンの自動車メーカーであるサーブ・オートモービルは4月4日、100%バイオ燃料を使用した多目的戦闘機「グリペン」の試験飛行を実施したと発表した。CHCと呼ばれる水熱分解プロセスを使用し、レイプシードオイル(菜種油)から製造したジェット燃料(CHCJ-5)が利用されたという。
4月4日付のサイト『グリーン・カー・コングレス』によると、アラブ首長国連邦(UAE)の航空会社であるエティハド航空(本社:アブダビ)と米ボーイングの幹部らが、UAEのマスダール・シティにあるバイオ航空燃料開発プロジェクト(ISEAS)を視察したという。このプロジェクトでは、海水と天然養分からバイオ航空燃料の製造を目指す。6月にエティハド航空が試験飛行を実施する予定だ。ISEASは、ボーイング、エティハド、米ハネウェルUOPが設立した非営利組織「サステナブル・バイオエナジー・リサーチ・コンソーシアム」が主導するプロジェクトを指す。
このほか、米エネルギー省(DOE)のバイオエネルギー技術局(BETO)は3月末、代替ジェット燃料関連のレポートを公表した。それによると、代替ジェット燃料の開発は初期段階にあるとした上で、短期的に最も有望な代替燃料は米国産バイオ燃料とした。BETOは、輸入原油依存を減らし、雇用の創出が期待できるとの見解を示した。