今回は中東の湾岸協力会議(GCC)諸国におけるエネルギー開発事情を取り上げる。(国旗はサウジアラビア)
調査会社のTMRによると、中東の湾岸協力会議(GCC)加盟6カ国の潤滑油充填事業にかかわる市場規模が昨年、1億6,270万ドルを記録したという。TMRの予測では、年率3.3%増で推移する場合、2024年には2億1,040万ドルに到達するとしている。ただ、この数字を達成するためには、さらなる研究や開発が欠かせないとした。GCC(本部はサウジアラビアのリヤド)は1981年、サウジのほか、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、オマーン、カタール、クウェートの湾岸6カ国で設立された。
4月5日付のサイト『トレード・アラビア』などによると、オマーン・オイル・ドゥクム開発会社が、同国のドゥクム経済特区(SEZ)に大規模な石油化学ブラント10基を建設する。投資額は数十億ドルに上る見通しで、石化製品20品目を製造する計画としている。
また、カタール国営石油会社(QP)の最高経営責任者(CEO)は4月初旬、ペルシャ湾のノース・フィールド天然ガス田における開発事業を12年ぶりに再開する意向を示した。カタールはこれまで、天然ガス生産量の急増による埋蔵量の減少を考慮し、2005年から新規開発を自主的に規制してきた。方針転換した理由として、世界における天然ガス需要が増加するのにともない、ノース・フィールドガス田の南部を開発する予定で、今後5~7年以内に生産活動を開始するという。
他方、クウェート国営石油会社(KNPC)は、クリーン燃料プロジェクト(CFP)の稼働で2018年に重油を輸入する予定であることを明らかにした。4月4日付のサイト『アラブ・タイムズ』によると、クウェートでは現在、重油はCFP対象の国内製油所で製造され、発電と海水淡水化プラントで使用される。
このほか、サウジアラビア国営のサウジアラムコが、アブダビ国営石油会社(ADNOC)とマスダール(本拠地はアブダビ)とともに化石燃料のほか、再生可能エネルギーなど広範な分野で連携することに合意した。サウジアラムコによると、同社とADNOCが石油・天然ガス分野における技術改善、マスダールはクリーン発電や二酸化炭素(CO2)回収を目的とした再生可能エネルギー開発に取り組むとしている。