中国では近年、ティーポットと呼ばれる独立系石油精製会社の存在が注目されている。ただ、国営石油会社と異なり、多くの規制が課されているのも事実だ。こうした状況下、大手の独立系石油精製会社が中心となり、石油製品にかかわる輸出制限の撤廃を求め、政府と交渉に当たっているとの情報が伝わっている。

3月10日付の『ロイター通信』によると、独立系の石油精製会社にとり石油製品の輸出は収益源として魅力があるため、独立系で最大規模を誇る山東東明石油化学グループと、恒源石油化工が議会との交渉に当たっていると報じた。

また、東明石化はこのほど、山東省の港湾都市である日照市と石油ターミナルを建設することで合意したという。東明石化が運営する製油所(精製能力は日量24万バレル)と日照市はパイプライン(輸送能力は年間1,000万トン)で連結されている。製油所を建設した場合の権益配分は、日照市港湾局が51%、東明石化が24%などとなっている。

一方、国営石油会社による動きも伝わる。中国石油化工(SINOPEC)グループは3月、2016年から2020年の間に上海や南京、鎮海(浙江省)、茂名(広東省)の4製油所にかかわる拡張・近代化工事に2,000億元(約290億ドル)を投資する計画であることが判明した。サイト『上海デイリー』などによると、総精製能力を日量260万バレル、エチレン製造能力を年間900万トンに引き上げる予定としている。SINOPEC全体でみると、上記の4製油所は、精製能力で45%、エチレン製造能力で65%のシェアを占めているという。

SINOPECはまた、天津市浜海新区にある天津製油所(精製能力は日量31万バレル)に米化学会社のデュポンが開発したSTRATCOアルキレーションプロセスを採用する。液化石油ガス(LPG)留分から高オクタン価で硫黄、ベンゼン、オルフィンを含有しないガソリン基材(アルキレート)を製造するという。製造能力は日量7,700バレルで、2018年初頭の稼働を目指している。

このほか、中国国家統計局がさきに発表した、中国における2016年のエネルギー総消費量は前年比1.4%増の43億6,000万トン(石炭換算)だった。エネルギー生産量は同4.2%減の34億6,000万トン(同)。全エネルギー消費量のうち、石炭が62%を占めた。