本サイト「エネルギーフロントライン」(3月1日付)で、イランにおける石油・天然ガス開発案件が目白押しと伝えたが、その後もイランによる積極的な動きが報じられている。

3月5日付のサイト『ファーズ・ニュース』などによると、イランのザンギャネ石油相は、同国が「南アフリカ共和国の製油所にかかわる株式取得を検討している」と語ったという。イランは、南アフリカの製油所に出資することで、イラン産原油を長期的に輸出できるようになると見込んでいるようだ。ザンギャネ石油相はまた、国営企業でなく、民間企業への出資を示唆したという。

一方、イランの通信社『ISNA』は2月22日、ロシアが原油輸入についてイランと交渉中で、近く合意に至ると報じた。それによると、イランはロシアに対し、原油10万バレル(日量)を輸出する意向を示している。2月下旬にロシアの保養地ソチで開催された「経済フォーラム」会場で、ロシアのノバク・エネルギー相も「数週間以内にイランと合意に至る予定」と語っていたという。

このほか、イランのサウス・パース・オイル&ガスカンパニー(SPOGC)はこのほど、サウス・パース天然ガス田の第3プラント(処理能力は日量5,000万立方メートル)のフレアガスを3月中にも7割削減すると発表した。フレアガスは、製油所で原油を熱分解してガソリンや軽油などをつくる際に発生するメタンなどの炭化水素ガスを指す。第3プラントは、ブーシェフル州アサルーイェにある全14プラントの中の1つだ。

ところで、イランの原油輸出に関連し、欧州向けが増加していることが判明した。イランの『タスニム通信』によると、2016年のイランから欧州向けに輸出された原油は、フランス向けが21船、イタリア向けが15船、スペイン向けが13船だったという。イランでは2016年1月、欧米諸国による経済制裁が解除されたことで、2016年の全輸出量は563船と大幅に増加した。ちなみに、経済制裁が課された2012年は66船、2015年は277船だったという。昨年12月にイランから欧州への原油輸出量は日量76万7,000バレルで、前月に比べ10%増となり、制裁発動前の日量80万バレルの水準に近づいている。