ベトナム北部のタインホア省ティンザー県のニソン経済特区に建設中のニソン製油所(処理能力は日量20万バレル)が近く工事を完了する予定だ。『ベトナム・ニュース』(2月22日付)によると、4月に試運転を開始し、2017年第4四半期に石油製品の供給を開始する計画という。

ニソン製油所は、ベトナム第2の製油所としてニソン・リファイナリー&ペトロケミカル(NSRP)が建設工事を進めてきた。2013年7月に着工、16年11月の完工を予定していたものの、最終的に半年ほど遅れた。この製油所では、ユーロ4、ユーロ5の高い基準を満たす石油製品を生産する計画という。

NSRPの出資比率は、ペトロベトナムが25.1%、出光興産とクウェート・ペトロリアム・インターナショナル(KPI)が各35.1%、三井化学が4.7%。この製油所の原油処理能力は日量20万バレルを見込み、クウェート産原油を処理する予定だ。重油脱硫・分解装置やプロピレン回収装置なども併設する。総投資額は90億ドル。このうち、50億ドル分は国際協力銀行(JBIC)や韓国輸出入銀行(KEXIM)からの直接投資で23億ドル、国内外の民間金融機関などから融資総額27億ドルのプロジェクト・ファイナンスによる協調融資で調達する。

KPIのバヒート・アル・ラシディ社長兼最高経営責任者(CEO)は昨年4月、クウェートで開催された石油・天然ガス会議で、ニソン製油所プロジェクトが順調に進み、石油精製プラントと石油化学プラントの建設工事が80%完了し、2017年内にも稼働するとの見方を示していた。

ベトナムでは、1987年にホーチミン市の南東沖合でバクホー油田などが相次いで商業生産を開始し、その多くが日本向けに輸出された。ところが、近年はすでにピークを過ぎ、衰退期に入った。英BPによると、原油生産量のピークは2004年の日量42万4,000バレル。2010年からは石油純輸入国に転じた。ベトナム政府は原油不足を補うため、中東諸国を中心に原油を輸入している。一方、経済発展とともに、国内では石油製品需要が高まっているため、旺盛な石油製品の需要に対応する目的で製油所の新設計画を進めている。ただ、資金調達が得られず、計画が延期されるケースも出ている。