アラビア半島の東端に位置し、オマーン湾とアラビア海に面するオマーン(首都:マスカット)。人口約360万人の小国で、近年は石油生産量が減少傾向にあったが、ここ数年は掘削技術の向上などで回復基調に転じている。そのオマーンで、同国初となるタイトガス(砂岩層に貯留しているガス)の商業生産を目指すプロジェクトが、今夏にも試運転に漕ぎ着ける見通しとなった。
『タイムズ・オブ・オマーン』(1月28日付)の報道によると、オマーン石油・天然ガス省のアル・アウフィ次官が、同国の「カザン」タイトガス・プロジェクトの見通しについて「順調にいけば、今年6月に掘削が完了し、8月に第1系列で試運転を開始する」と答えたという。商業ベースに乗せる掘削井は50井でスタートし、最終的には300井を目指すとしている。
他方、オマーン政府は1月末、同国の「ブロック48鉱区」の探査・生産分与契約(EPSA)をオマーン国営石油会社(OOC)の子会社であるオマーン・オイル・カンパニー・エクスプロレーション&プロダクション(OOCE&P)と締結した。中東ビジネス金融情報サイト『ザウヤ』(2月1日付)によると、ブロック48鉱区はウスタ地区とザーヒラ地区にまたがり、面積は2,995平方キロメートル。OOCE&Pは今後、地震探査や掘削活動を実施する予定としている。
また、OOCとクウェート国際石油(KPI)が、オマーンのドゥクム製油所(精製能力は日量23万バレル)プロジェクトの権益配分について合意する見通しとなった。『オマーン・オブザーバー』(1月31日付)などが報じた。アブダビの国際石油投資会社がこのプロジェクトから撤退した後、KPIはOOCに対し、均等出資を求めていたという。
このほか、オマーン国営石油精製・石油化学会社(ORPIC)は2月5日、ソハール製油所(精製能力は日量11万6,000バレル)の整備事業(SRIP)で、常圧蒸留装置、減圧蒸留装置、灯油精製装置の建設工事が完了し、全体としての進捗率が99%を超えたと発表した。ORPICは、SRIPを通じて製造能力を70%拡大することを目標とする。