バイオ燃料開発で新たな動きが出ている。英王室ご用達で知られるスーパーマーケットが、バイオガス利用のトラック輸送を開始するほか、ドイツ航空宇宙センター(DLR)などが、ロケット向けのエタノール燃料噴射ヘッドを用いた燃焼試験に成功した。

英国王室ご用達の高級スーパーマーケット・グループ、ウェイトローズは2月半ば、バイオガスを利用したトラックによる輸送を開始すると発表した。スウェーデンの重工業会社であるスカニアと米フューエル・ソリューションズ(カリフォルニア州)との共同プロジェクトで、スカニアが製造した圧縮天然ガス(CNG)トラック10台が、英国中部などの店舗向けで使用されるという。

また、独DLRは2月14日、ブラジル宇宙機関(ARB)とともにロケット向けのエタノール燃料噴射ヘッドを用いた燃焼試験に成功したと発表した。この噴射ヘッドは、エタノールと酸素を推進剤に用いるブラジルの小型液体燃料に使用される計画という。

他方、米国の南カリフォルニアガス会社(SoCalGas)は2月11日、米エネルギー省(DOE)から廃水処理を利用した燃料製造の実証プロジェクトで120万ドルの助成金を取得したと発表した。このプロジェクトでは、廃水処理プロセスでできる固形物を再生可能バイオガスなどに転換するという。パシフィック・ノースウエスト国立研究所(PNNL)が独自に開発した技術を用いて、水熱反応でバイオガスを製造する。米バージニア州アレクサンドリアの水環境再利用財団(WERF)が主導するコンソーシアムによる今回の実証プロジェクトで、SoCalGasは資金の50%を負担する。

このほか、イタリア環境省は2月半ば、イタリア炭化水素公社(ENI)が、シチリア島で運営するゲラ製油所(精製能力は日量10万5,000バレル)のバイオリファイナリー転換プロジェクトに環境認可を与えた。ゲラ製油所は今後、原油処理を停止し、バイオ燃料を製造する製油所に移行する予定だ。

ところで、米マサチューセッツ州ボストンを本拠地とするラックス・リサーチの予測によると、世界におけるバイオ燃料製造量は、2016年の590億ガロンから年間ベースで2.2%増加し、2022年に670億ガロンに達するとしている。その上で、トウモロコシやサトウキビなど食糧生産と競合しない原料を使用する製造能力の比率が全体の50%を超えると予測する。