イラン特集の2回目。前回、取り上げたように、石油・天然ガス開発事業で、覚書(MOU)ベースの契約は目立つものの、正式合意したケースは少ない。背景には、米国政府による経済制裁の強化で、今後の動向を見極めたいとする海外企業が多いためとみられている。

イランのザンギャネ石油相は2月初め、米国政府による経済制裁の強化を受け、イラン国内での石油や天然ガスプロジェクトに米国企業による入札が不可能になるとの見方を示した。米国による経済制裁の影響を見極めるためか、イランは2月4日、2016年1月の制裁解除後に初となる石油・天然ガス開発の入札を延期した。

2月2日付の『イラン・デイリー』などによると、イランは石油・天然ガス精製プラントを12基建設する計画であるという。イラン国営石油精製会社(NIORDC)は、イラン国内の9製油所における精製能力は日量173万バレルで、2017年にペルシャン・ガルフ・スター製油所が新たに稼働を開始することで、日量12万バレル分が追加されるとしている。

一方、2月13日付のサイト『トレード・アラビア』などは、イラン国営石油会社(NIOC)が、仏トタルと共同でサウス・パース天然ガス開発プロジェクトのフェーズ11を開発することで協議していると報じた。両社はすでに合意に達し、最終投資決定(FID)に向け、様々な作業を進めているとしている。

ところで、『テヘラン・タイムズ』などによると、イランのフーゼスターン州バンダール・イマムの経済特区(PETZONE)運営会社はこのほど、ポーランドの化学大手であるグルーパ・アゾテとイランの石化プロジェクトへの投資と技術情報の供与にかかわる契約に合意し、覚書(MOU)を締結したという。アゾテは、アンモニアやリン酸製造・供給でポーランド最大手の企業だ。

このほか、オーストリアの石油会社であるOMVは、イランの民間石油会社であるダナエナジーとイラン国内の上流部門でのプロジェクトについて提携することに合意し、MOUに調印した。OMVはこれまで、イラン国営石油会社(NIOC)と合意し、2016年5月にイラン西部のザグロス地域で石油・天然ガス調査を実施済みだ。また、ダナエナジーは、サウス・パース天然ガス田や南アザデガン油田などの開発プロジェクトにも携わっている。