サウジアラビアでは現在、国営サウジアラムコの新規株式公開(IPO)を控え、リヤル建てイスラム債の起債に向け4行を起用したとの情報のほか、株式の新規上場でシンガポール証券取引所(SGX)と協議していることが分かった。

2月初旬、サウジアラムコのIPOに関連し、同社の株式上場計画で、シンガポール証券取引所(SGX)と協議していることがこのほど、判明した。サウジアラビアのファリハ・エネルギー鉱物資源相はこれまで、サウジアラムコの株式上場について、複数国の証券取引所に上場する計画であることを表明済みだ。現時点で、SGXのほか、ニューヨーク、ロンドン、香港、日本が候補先に挙がっているという。サウジアラムコは株式5%を売却とされるが、これは世界最大規模のIPOになるとされ、投資家から大きな注目を集めている。

一方、2月6日付の『ブルームバーグ・ニュース』は、サウジアラムコで初めてとなる起債に向け、英HSBC銀行など4行を起用したと報じた。それによると、リヤル建てイスラム債発行業務を引き受けるのは、HSBCのほか、リヤド・キャピタル、NCBキャピタル、アリンマ・インベストメントで、イスラム債発行は、年内に最大100億ドルの資金を調達する計画の一環としている。また、IPOの引受幹事に米モルガン・スタンレーとJPモルガン・チェースの2社が選出されたとの報道もある。アラムコのIPOについては、同社の財務情報の開示などで不十分な点があるとされ、株式公開の時期が遅れるとの指摘もある。

ところで、米マクダーモット・インターナショナルはこのほど、サウジアラムコからサウジアラビアのサファニアとズルフ海洋油田施設の近代化プロジェクトの設計・調達・制作・設置(EPCI)役務を受注したと発表した。サファニア油田は、ダーラン沖合の北方約200キロメートルに位置する世界最大規模の海洋油田とされる。マクダーモットはこれまで、サファニア油田でプラットフォーム62基を設置してきたという。

サウジアラムコはまた、中国の独立系石油精製会社である北方華錦化学工業集団と2017年分の原油供給にかかわる契約を締結した。2月13日付の『ロイター通信』が、情報筋の話として伝えた。北方華錦化学は、遼寧省盤錦市の製油所(精製能力は日量12万バレル)と石油化学プラント(エチレン精製能力は年間70万トン)を運営するほか、内モンゴル自治区や新疆ウイグル自治区で肥料ブラントを操業している。

このほか、米ハネウェルは1月末、プラント運転時の安全性や効率などの改善を図る独自技術(CPS)をサウジアラビアのアルワハ石油化学に提供すると発表した。アルワハ石油化学は、CPS技術の導入でプロピレンの増産を目指すとしている。