台湾の立法院(国会)で1月、改正電気事業法が可決、成立した。昨年5月、「原発ゼロ」などを掲げて当選した蔡英文総統は、公約実現に動き出した。福島第1原子力発電所の事故後、脱原発を決めたのはドイツやスイスなどごく一部の国々だ。台湾による脱原発の決定は、アジア諸国で初めてとなる。

台湾の行政院(内閣)は、2025年までに国内に6基ある原子力発電所を順次停止させ「原発ゼロ」を目指す。その一方で、再生可能エネルギーの普及を促進させる。また、台湾電力が独占してきた電力事業を自由化し、民間企業の参入につなげるとしている。

現在、台湾の電源構成で、再生可能エネルギーが全発電量に占める比率はわずか4%。これを20%に引き上げる計画だ。そのためには、風力発電を6倍、太陽光発電を23倍に増やすことで、現時点で16%を占める原子力の発電分を賄えると試算している。

台湾が原発を導入したのは1978年に遡る。その後、1985年までに第1から第3原子力発電所(計6基)が稼働した。1980年代後半には、民主化が進行したことで、原発が立地する周辺の住民や環境団体らによる反原発運動も盛んになった。2011年3月の福島第1原発事故により、「フクシマのケースは対岸の火事でない」として、原発反対の住民感情がさらに高まったとされる。

ところで、調査会社『ブルームバーグ・エナジー・ファイナンス』によると、2016年の世界におけるクリーン・エネルギーの投資額が前年比18%減の2,875億ドルで、3年ぶりのマイナスとなった。国・地域別では、中国が同26%減の878億ドルだったという。

その中国では、国家エネルギー局(NEA)が1月5日、第13次5カ年計画(2016~2020年)で再生可能発電に2兆5,000億元(約3,600億ドル)を投資すると発表済みだ。水力、風力、太陽光、バイオマス発電といった再生可能エネルギー、原子力発電を増やす一方、石炭消費量の削減を目指すというのが骨子だ。