タイでは、国民から絶大な信頼を得ていたプミポン前国王が昨年10月に死去した後、長男のワチラロンコン皇太子が同12月に新国王に即位した(戴冠式は1年間の服喪後)。タイ新憲法案の修正・承認手続きが手間取っているため、民政復帰に向けた総選挙の実施が大幅に遅れる見通しであるが、エネルギー分野では、国営石油会社のPTTを中心に国内外での投資が活発なようだ。

タイ国営PTTの開発子会社であるPTTEPは1月10日、2017~2021年の5年間で、石油・ガス探査活動に総額149億5,000万ドルの投資を実施すると発表した。初年となる17年分の投資額は1億3,800万ドルを予定。PTTEPは、自前で30億ドル超を確保しているため、原油価格の変動などに対応できるとしている。

PTTEPはこのほか、イラン国営石油会社(NIOC)と昨年末、イラン国内の3油田(Changuleh、Balal、Dalamperi)の開発に向けた事前調査を行うことで合意した。調査期間は6カ月で、PTTEP以外の海外企業も別途、調査に参加するという。NIOCは今後、各社の調査結果を踏まえた上で、開発に参加する企業を認可する方針のようだ。

英BPとPTTは昨年末、液化天然ガス(LNG)の長期売買契約を締結すると発表した。BPがPTTに年間約100万トンの LNGを今年から20年間にわたり供給するという。米テキサス州のフリーポートLNGで生産されたLNGを中心に供給するというが、詳細は明らかにしていない。

また、タイのエネルギー政策委員会は昨年12月、PTTがマレーシア国営のペトロナスからLNGを長期契約で購入することを承認した。『ロイター通信』などの報道によると、PTTの購入量は、2017~18年に100万トン/年、19年以降は120万トン/年で、契約期間は15年としている。他方、同委員会は、今後20年間のLNG輸入計画の修正案も承認。2020年に1,740万トン、2036年に3,400万トンとした。

このほか、PTT傘下で、タイの石油精製会社であるIRPCが、2017年に100億バーツ(約2億8,000万ドル)を投資し、石油化学製品の製造能力を増強する計画であることが判明した。『ビジネス・タイムズ』などの報道によると、今年半ばまでにポリプロピレンの製造能力を年間ベースで30万トン増強し、77万5,000トンに引き上げるという。