11月30日付の『ロイター通信』によると、アゼルバイジャン国営ソカールのマーケティング事業部門であるソカール・トレーディングの幹部がこのほど、中国市場への原油輸出を図る目的で、トレーダー3人と契約を締結した。このうち、2人は中国国際石油化工連合(UNIPEC)のトレーダー、もう1人は英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルに在籍していたトレーダーという。ソカール・トレーディングは国際市場への進出を目指す中、これまでアジア市場への進出は手つかずの状態だったそうだ。今後、トレーディング体制を整えた上で、中国市場を中心に東南アジア市場にも進出する方針のようだ。
こうした状況下、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が、11月末に都内で開催したフォーラムに参加したソカールのヤシャー・ラティホフ副社長(開発・生産担当)は、日本のエネルギー業界関係者を前に、アゼルバイジャンにおける石油・天然ガス開発の現状、進出のメリットなどについて力説した。同氏の講演における要旨は以下のとおり。
「カスピ海のシャーデニス2の開発をいかに行うかが課題。シャーデニス2には26の海底ガス田がある。2018年後半にも生産を開始する予定。バクーからイタリアをつなぐ統合パイプライン(全長約3,500キロメートル)の整備を急ぐ。SCPX―TANAP―TAPパイプラインを結合することで、2020年にイタリア・ギリシャに到達可能だ」。
ラティホフ氏はまた、エネルギー開発におれる目標を掲げた。具体的には、以下の4点だ。
①国営企業なので公益を優先する(政府・従業員の利益を確保する)。
②埋蔵量を増強していく(地震波技術、地球物理学に基づく技術を活用する)。
③株主価値を上げる(少ない資本でより多くの生産目指す)。
④専門家の育成(人的資本の充実を目指し海外に約1万人の留学生を派遣)
こうした目標を達成するため、ラティホフ氏は、日本政府や企業などからのサポートが欠かせないとし、アゼルバイジャンへの投資促進を呼びかけた。