中国における石油化学ビジネスに関する報道が相次いでいる。英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルと中国国営企業との合弁企業(JV)が、広東省で推進する石油化学プラントの稼働開始に向けた動きが本格化したほか、米ハネウェルUOPが山東省の化学会社にハネウェル独自の技術を提供するといった情報が伝わっている。

シェルと中国海洋石油(CNOOC)の折半出資で設立した合弁(JV)企業「中海シェル石油化工」(CSPC)が11月2日、広東省恵州市で展開する石油化学プラントの所有権が中国当局から認可されたと発表した。CSPCの石化コンプレックス(複合施設)を建設するもので、現在、約70%が完成したという。2017年第4四半期に稼働開始の予定だ。設備能力は、エチレンが年間120万トン、エチレンオキサイドが同15万トン、エチレングリコールが同48万トン、スチレンモノマーが同63万トン、高品質ポリオールが同60万トンなどとなっている。

一方、ハネウェルUOPは10月27日、中国の東営斉潤化工が、ハネウェルの水素化分解プロセス技術を導入すると発表した。山東省の製油所でディーゼル、ナフサを増産するのが目的という。ハネウェルは、設計・運転開始、設備機器・触媒などの役務を提供する。同社は、中国における輸送用燃料の需要の伸びが今後、米国と欧州連合(EU)を合わせた分を上回ると見込む。

また、ハネウェルは10月27日、中国の化学会社である吉林康乃爾化学工業が、ハネウェルが独自開発したMTOプロセス(メタノールからオレフィンを製造)を導入すると発表した。吉林康乃爾は石炭を出発原料とするエチレン、プロピレンの製造を目指す。MTOブラントは2017年に完成予定としている。

このほか、10月14日付の『ロイター通信』などは、中国国営の化学会社である中国中化集団と中国化工集団が合併に向け、協議していると報じた。実現すれば、化学・肥料・石油分野を網羅する資産1,000億ドル相当の巨大企業の誕生となる。なお、この合併は、中国政府による国営企業の削減方針に沿ったものとしている。