今回は、バイオ燃料開発に関する北米地域での最新動向を取り上げる。米シアトル・タコマ国際空港では、あらゆる航空会社を対象に持続可能な燃料供給を構築する体制づくりに乗り出したほか、カナダの国立研究機関が「藻類」由来のバイオ燃料にかかわる実証設備を公開するなどの動きが出ている。
ポート・オブ・シアトルは10月31日、カーボン・ウォー・ルーム(CWR)、SkyNRG(蘭アムステルダム)とともに、シアトル・タコマ国際空港で、長期間にわたり、あらゆる航空会社を対象に持続可能燃料を供給できる体制づくりを進めると発表した。それによると、バイオ燃料に関する供給契約では、燃料を製造する企業と航空会社が互いに契約するというのが一般的で、バイオ燃料価格が割高になる一因とされる。ポート・オブ・シアトルなどは、持続可能燃料と在来型燃料のコスト差を縮小するための資金調達を目的とする機構設立を目指すとしている。
また、米国立科学財団(NSF)はこのほど、バイオ燃料と二酸化炭素(CO2)回収のどちらが持続可能という点で優れているかを判断するための研究に対し、モンタナ州立大学を中心とする共同研究チームに600万ドルを助成する。同大学が10月26日に発表した。研究対象となるのは、アッパー・ミズーリ・リバー盆地で、ミズーリ州とアイオワ州スーシティの支流を含む地域。モンタナ、ワイオミング、サウス・ダコタ、ノース・ダコタ、ネブラスカ各州にまたがるという。これら地域は、小麦や大豆など米国の穀物生産地帯でもある。
一方、米エネルギー省(DOE)によると、米イリノイ州のアルゴンヌ国立研究所(ANL)が、藻類分画処理プロセスで製造したバイオディーゼルの温室効果ガス(GHG)は、石油由来のディーゼルに比べ、GHG排出量が63~68%低いという評価結果を得たという。
このほか、カナダ連邦政府は11月3日、カナダ国立研究機関(CNRC)が、同国初となる藻類バイオリファイナリーの実証設備を公開したと発表した。このプロジェクトは、藻類炭素転換(ACC)などとの共同事業で、排ガスからバイオ燃料、バイオ製品を製造するとしている。