液化天然ガス(LNG)ビジネスをめぐり、コートジボワールやモザンビークなどアフリカでの売買契約が目立つ一方、マレーシア国営ペトロナスがカナダでの事業から撤退するとの情報が伝わっている。
国内の電力需要が増加傾向にあるコートジボワールではこのほど、浮体式の液化天然ガス(LNG)貯蔵・再ガス化設備(FSRU)を備えた輸入基地の設計・建設・運転役務を仏トタルが主導する複合企業体(コンソーシアム)に発注した。10月5日付のサイト『LNGワールド・ニュース』などによると、この基地のLNG貯蔵能力は、スタート時点で1億立方フィート、5億立方フィートまで拡張する見通しという。建設費用は2億ドルで、2018年半ばに稼働する予定。トタルのほか、英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェル、コートジボワール国営のペトロシ・ホールディングスなどが参加している。
英BPは10月4日、モザンビーク沖合のエリア4天然ガス鉱区開発に関連し、パートナー企業のイタリア炭化水素公社(ENI)イースト・アフリカ(EEA)、韓国ガス公社(KOGAS)などとLNGの売買契約を締結したと発表した。EEAのコーラル・サウス・フローティングLNGブロジェクトで生産されるLNGを20年間にわたり、供給・購入する契約で、権益比率はEEAが70%、残りをKOGASなど3社が各10%を保有する。
このほか、中国のウィルソン・オフショア&マリーンは9月27日、江蘇省南通市にある造船所で、浮体式LNG(FLNG)施設の試運転を終えたと発表した。9月28日付のサイト『リグ・ゾーン』などによると、性能を確かめるため、72時間の試験を実施したという。このFLNGは、ベルギーのEXMARシップマネージメント(アントワープ)から設計・調達・建設・設置・試運転役務(EPCIC)を受注したもので、今後、設置先に移送されるとしている。
一方、LNGビジネスから撤退するとの情報もある。9月30日付の『ロイター通信』によると、ペトロナスは、カナダで展開するLNGプロジェクト「パシフィック・ノース・ウエスト」(PNW)の権益を売却し、この計画から撤退する意向であるという。環境対策に求められる手続きの煩雑化に加え、経済性が疑問視されているためだ。PNWのLNG生産能力は操業開始時に2系列(1,200万トン/年)で、その後、1系列が追加される計画だ。投資額は273億ドルを見込む。