今回は世界におけるエネルギー政策を取り上げる。国際クリーン交通委員会(ICCT)が最新レポートで、航空燃料は2034年までに最大40%削減が可能とする分析を公表した。一方、英調査会社のBMIリサーチはこのほど、世界の石油産業における2017年の設備投資額が増加するとの見通しを示した。(写真はイメージ)

ICCTは9月27日、新技術の導入によって航空機からの温室効果ガス(GHG)排出量を大幅に削減できるとしたレポートを公表した。それによると、燃費改善は2034年までの間、現在の年率1%が同2.2%で進行するとした。結果として、コスト競争力をともなう新技術で、2024年までに25%、34年までに40%改善できると結論付けた。ICCTは、航空機の燃費改善について2024年までの短期と、34年までの長期に分けて分析したという。

一方、BMIリサーチは9月22日、世界の石油産業における2017年の設備投資額が前年比2.5%増の4,550億ドルになるとの予測を発表した。2014年以降、初めて前年を上回る見通しとなった。北米地域におけるシェール開発企業やアジア地域の国営石油企業、ロシア国営企業が増額するとみており、これら企業群がメジャーの米エクソンモービルや仏トタルなどの削減額を上回るとしている。BMIは2018年の設備投資額も前年比7~14%増を予測するものの、これまでの最高水準にあった7,240億ドル(2014年)には及ばないとの見方を示した。世界での石油産業の設備投資額については、米エネルギー情報局(EIA)が減少見通しをする中、BMIのように強気の見方を示すなど、調査機関によって見解が異なるのも事実だ。

このほか、EIAは10月4日、2016年上半期における米石油製品の総輸出量が日量470万バレルになったと発表した。前年同期に比べ同50万バレル増加したという。プロパンが輸出増に貢献した。16年上半期のプロパン輸出量は日量79万3,000バレル(前年同期は同56万2,000バレル)だった。また、輸出増加分の94%がアジア・太平洋地域向けで、このうち、日本が日量15万9,000バレルと、同地域で最大の輸出先になったとしている。