「原油安ショック」シリーズの第48弾。ノルウェーでは油田サービス業の労働組合に属する従業員がストライキに突入、このうちの一部がレイオフ(一時解雇)された。また、マレーシア国営石油会社のペトロナスで追加の人員削減が計画されていることが明らかとなっている。

ノルウェーの産業エネルギー労働組合(IETU)は9月21日、油田サービス業の従業員が、賃金交渉の決裂でストライキに突入したと発表した。スト参加者は、油田サービス大手のシュルンベルジェ、ハリバートン、ベーカー・ヒューズ、オーシャニアリング、オーシャニアリング・アセット・インテグリティの5社に所属する組合員335人。

その後、経営側はノルウェーで従業員のレイオフ(一時解雇)に乗り出した。9月28日付のサイト『リグゾーン』などによると、レイオフ数の最高は、ベーカー・ヒューズの約300人で、今後も解雇者は増えるとしている。ノルウェーにおける原油・コンデンセート・天然ガス液(NGL)の生産量は日量約200万バレル、天然ガスは180万バレル(原油換算)。今後、ストが長引くようであれば、生産活動に影響が出ると懸念される。

一方、マレーシアでは、原油安が続いていることを受けて、ペトロナスが追加の人員削減を計画する。9月21日付の『ウォール・ストリート・ジャーナル』によると、削減数は数百人規模としている。ペトロナスは今年3月、1,000人規模の人員削減を実施していると発表済みだ。計画では、4年間で114億ドル程度のコスト削減を見込むが、今後の需要動向によっては、その変化に合わせた事業戦略に沿って人員の見直しを図るようだ。2015年末の時点で、ペトロナスの従業員数は約5万3,000人という。

ところで、米格付け会社のムーディーズは9月末、2017年の世界における石油精製事業の見通しを公表。石油精製品の需要は緩やかに増加するが、供給過剰の状態は続くと分析した。製品卸価格と原油価格の値差(クラック・スプレッド)が縮小し、今後1年から1年半の間に北米や欧州、中東などの税引き減価償却前利益(EBITDA)は15%以上減少すると予測している。