ベトナムのビンソン石油精製・化学会社(BSR)が新規株式公開(IPO)に向け、動き出した。保有株式の49%を外国投資家に売り出す予定で、ベトナム政府もすでに承認している。ただ、情報が錯綜している感も否めなく、今後の成り行きが注目されている。
BSRは、ベトナム国営石油会社ペトロベトナムの100%子会社で、ズンクワット製油所(クアンガイ省)を運営している。同製油所の市場価値は30億ドルと見積られる。ただ、BSRのIPOに関しては、不透明な情報が目立つのも事実だ。9月7日付の『ロイター通信』は、ロシアのロスネフチ、ガスプロムネフチ、タイ国営のPTT、クウェート石油公社(KPC)などが入札したと報じた。その一方、ガスプロムネフチがすでに撤退したとの情報や、PTTはかつてニョンホイ経済特区の製油所プロジェクトから手を引いたこともあり、IPOの可能性は少ないなどの見方が出ている。
こうした状況下、ベトナム政府は9月初旬、ズンクワット製油所を操業するBSRに対し、この製油所に価格を決める権利を2017年1月から付与するとした。輸入する石油製品と競合することができるようにするのが狙いとみられる。また、同国政府は、液化石油ガス(LPG)など石油製品の国内における消費分に対する免税措置も決めたとされる。
ベトナム財務省はさきに、原油輸入税を減税する方向でも調整に入っている。BSRに対し、原油輸入税額を現行の20%から10%に減らすことを提案済みだ。経営状況が悪化する中、BSRは資金難から抜け出すことができると期待されている。
これに加え、BSRはズンクワット製油所の拡張工事と、株式化交渉を並行して進めている。ズンクワット製油所の拡張工事については昨年、BSRが18億ドル2,000万ドルを投資し、精製能力を現行の日量13万バレルから2021年までに同17万バレルまで引き上げる条件をベトナム政府に示し、政府も承認済みだ。