9月2日、ロシア極東地方のウラジオストクで開催された第2回「東方経済フォーラム」(EEF)で、安倍晋三首相とロシアのウラジミール・プーチン大統領が会談した。経済分野でエネルギーなど8項目にわたる「協力プラン」の推進で一致した(写真=日ロ首脳会談、外務省のホームページから引用。内閣広報室が提供)。日本のほか、中国や韓国などアジア勢の極東地方への進出が活発となっている。

ロシア国営のガスプロムと中国石油天然ガス集団(CNPC)はこのほど、「パワー・オブ・シベリア」天然ガス・パイプライン計画に関連し、ロシア側のアムール川流域での建設箇所で契約を締結した。CNPC子会社のチャイナ・ペトロリアム・パイプライン(CPP)が建設工事を請け負うという。9月初旬、中国・浙江省杭州市で開催されたG20首脳会議の際、両社のトップが調印した。

ガスプロムはまた、ロシア極東地方で展開されるサハリン2液化天然ガス(LNG)プロジェクトの第3系列が完成した後、供給量を増加させることで、韓国ガス公社(KOGAS)と協議に入った。サハリン2では現在、第1、第2系列が稼働中で、2015年のLNG生産量は1,080万トンだった。これは、設計能力を120万トン上回る生産量という。第3系列の落札は2018年3月の予定。KOGASは2005年、サハリン2プロジェクトからLNGを年間150万トン輸入する契約を締結済みだ。

一方、ロシア国営ロスネフチは9月4日、中国化工集団と合弁企業「極東石油化学(FEPCO)」の設立に向けた協議に合意したと発表。権益比率はロスネフチが60%、中国化工が40%。契約内容には、プラント設備の基本設計(FEED)やインフラ開発などが含まれるという。

このほか、ロスネフチは9月2日、タイ国営のPTTとエネルギー分野にかかわる協力関係の構築で合意した。合意内容は、上流部門の開発、石油精製、石油化学、LNG供給など多岐にわたる。ロスネフチはまた、PTTと原油供給に関する長期契約を締結する意向であることを明らかにした。

前述のとおり、日本企業とロシア企業とのビジネスも進展しそうだ。総合商社がシベリアを含む極東地方でエネルギー開発に携わる予定という。ロシア国営企業に出資するとの報道があるものの、日本政府は現時点(9月16日現在)で、事実関係を否定している。