中央アジアのトルクメニスタン(首都:アシガバート)で、TAPI天然ガスパイプライン建設工事が始まったほか、欧州連合(EU)への天然ガス販売で協議が進行しているとの情報が伝わっている。
トルコ-アフガニスタン-パキスタン-インドをつなぐTAPI天然ガスパイプライン建設計画で現在、始点となるトルクメニスタンで工事が始まった。7月31日付のサイト『ハンズ・インディア』などによると、TAPIは投資総額100億ドル相当のプロジェクトで、全長は1,800キロメートル超という。カスピ海で産出される天然ガスを南アジア各国に輸送する。2021年に天然ガスを年間330億立方メートル供給する見通しだ。トルクメニスタンは昨年10月末、TAPIパイプラインの建設を2016年から開始すると表明していた。
一方、トルクメニスタンからの現地報道によると、同国で進んでいたセイディ製油所の近代化工事が終了に近づいたという。自動車排ガス規制につながるガソリン(Euro-5)の製造装置にかかわる工事で、今夏、試運転が行われた。
トルクメニスタンのグルバングル・ベルディムハメドフ大統領は8月29日、ドイツのメルケル首相と会談した。共同記者会見で、同大統領はトルクメニスタンの天然ガス輸出先の分散化、EU諸国への天然ガス販売などで協議していることを明らかにした。販売活動に関する法的な手続きや、技術的にクリアすべきポイントを中心に話し合いを進めているそうだ。
カスピ海から天然ガスを輸出する場合、ロシアとイランとの2カ国で争われていたカスピ海の領有権問題が、旧ソビエト連邦の崩壊で、周辺国が分離、独立したため、沿岸国が増加した。そのため、トルクメニスタンは、カスピ海沿岸の周辺諸国からも合意を得る必要があるとされる。
ところで、ウズベキスタンのイスラム・カリモフ大統領が9月2日、死去した。1990年以降、26年間にわたり独裁体制を敷いてきただけに、後継体制の確立がスムーズになされるかは不透明だ。状況次第では、トルクメニスタンをはじめ、カザフスタンやタジキスタンなど中央アジア地域の政情不安に飛び火する可能性もある。エネルギー資源が豊富な国々が多いだけに、ウズベキスタン情勢の今後の動向が注視される。