パキスタン鉱区でこのほど、カナダ企業などによる掘削で天然ガスの埋蔵が確認されたほか、ロシアとパキスタンが進めるノース・サウス(NS)パイプライン計画で、ロシア側からパキスタン側に輸送料金が提示されるなど、開通に向けた動きが加速している。

カナダの独立系石油・天然ガス会社のジュラ・エナジーは7月28日、パキスタン鉱区で天然ガスの埋蔵を発見したと発表した。深度は753メートル、試掘で日量295万立方フィートの産出を確認したという。サイト『シェール・エクスパーツ』によると、この鉱区のオペレーターは、パキスタンの国営石油・天然ガス開発会社(OGDCL)という。ジュラは13.5%の権益を保有している。

8月13日付のサイト『ナチュラルガス・アジア』などによると、パキスタンがロシアとともに建設を進めるノース・サウス(NS)天然ガスパイプライン計画に関連し、運営企業であるロシアのRT-グローバル・リソーシズがこのほど、パイプラインの輸送料金で1MMBtuあたり1.25ドルを提示したという。

NSパイプラインは全長約1,100キロメートル。パキスタン南部の港湾都市であるカラチとグワーダルのLNGターミナルから同国北部のラホールをつなぐもので、昨年10月、ロシアとパキスタン間で建設に合意した。

このほか、パキスタンでは、天然ガス会社のパキスタン・ガスポート・リミテッド(PGPL)が、シンガポールを拠点とする海運企業BWグループの浮体式LNG貯蔵・再ガス化装置(FSRU)を採用することに合意した。新造するFSRUは、カラチ市のムハンマド・ビン・カシム港に設置する予定で、契約期間は15年。

このFSRUは現在、韓国のサムスン重工業が建造中で、今年の第4四半期に完成予定。LNG貯蔵能力は17万立方メートル、再ガス化能力は日量7億5,000万立方フィートとされる。早ければ、2017年6月末までに試運転に漕ぎ着ける見通しだ。8月23日付のサイト『LNGインダストリー』などが報じた。