「原油安ショック」シリーズの第47弾。一昨年来の油価低迷を受けて、米国で石油・天然ガスの掘削活動などにかかわる従事者数が激減している事実が数字上からも明らかとなった。また、商業性が見込めないとして、韓国石油公社(KNOC)はこのほど、カザフスタンからの事業撤退を同国国営会社と協議していることが判明した。

米エネルギー情報局(EIA)のレポート(8月5日付)によると、原油価格の下落が顕著となった2014年半ば以降、米国で石油・天然ガスの掘削活動にかかわる従業者数が激減しているという。14年10月に過去最高の53万8,000人を記録したが、その後は減少に転じ、今年5月にはピーク時(14年10月)に比べ14万2,000人減った。

他方、世界規模で100億ドル相当の資産売却を進める米シェブロンは、最大規模で50億ドル分をアジア地域で処理すると見られている。8月4日付のサイト『モーニング・スター』などによると、アジア地域での資産売却の候補として、中国の海洋油田、インドネシアの地熱発電、タイの天然ガス田などの資産が挙がっている。

ところで、シェブロンがこのほど発表した、今年第2四半期(4~6月期)決算での損益は15億ドルの純損失となった(前年同期は5億7,100万ドルの純利益)。原油価格の下落により、売上高は280億ドル(前年同期は370億ドル)にとどまった。

資産売却では、ノルウェーのスタットオイルが8月初旬、米ウエストバージニア州マーセラスに保有するシェール鉱区のうち、操業していない区域の一部権益を6,900万ドルで、米アンテロ・リソーシズに売却することに合意した。

このほか、韓国のKNOCは8月初旬、カザフスタンで進めるジャンブール鉱区のプロジェクトから撤退することで、国営企業と協議していることを明らかにした。探査の結果、想定していた生産量が見込めないと判断したようだ。8月5日付のサイト『オイル&ガスイヤー』などによると、KNOCが主導するコンソーシアム(複合企業)は、2008年にジャンブール鉱区の権益27%(このうちKNOC単体で9.45%)を取得済み。当時、2億5,000万ドル相当を投資したが、期待したほどの原油埋蔵量を確認することが出来なかったという。ちなみに、この鉱区で最大の権益を保有するのは、カザフスタン国営石油ガス会社のカズムナイガス(73%)。