南アジアのスリランカが、中東のカタールから液化天然ガス(LNG)を輸入する方針であることや、国内唯一であるサプガスカンダ製油所の精製能力を倍増する計画であることが判明した。

7月31日付のサイト『ガルフ・タイムズ』によると、天然ガスの国内需要が増加したことを受けて、スリランカのカルダナサ駐カタール大使は、カタールからのLNG輸入を中心としたエネルギー分野での関係強化に乗り出す意向を示した。今年後半、スリランカのマイトリーパーラ・シリセーナ大統領がカタールを訪問する際に協議するという。LNG価格が低下する中、スリランカは石炭に代わるクリーンな燃料としてLNGを発電用に使用するとされる。実現すれば、スリランカにとり、カタールからのLNG輸入は初めてとなる。カタールからのLNGはコロンボ港に建設が予定されている受入基地を通じて輸入されるという。

一方、スリランカは燃料にかかわる輸入額を減らすため、同国で唯一のサプガスカンダ製油所の精製能力を現行の日量5万バレルから同10万バレルに倍増する計画だ。セイロン石油会社(CPC)が保有するサプガスカンダ製油所はイラン産原油の受入れ仕様であるため、スリランカはイラン国営石油会社(NIOC)と準備を進めているという。8月2日付のサイト『コロンボ・ページ』などが報じた。

イランの核開発をめぐり、欧米などによる対イラン経済制裁が本格化した2012年6月以降、サプガスカンダ製油所では、オマーンやサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)などの中東産原油が処理されていた。今年1月、対イラン制裁が解かれたことで、イラン産原油の輸入再開につながる見通しだ。

ところで、シリセーナ大統領は今年5月末、伊勢志摩G7首脳会合におけるアウトリーチ会合に出席するため来日。名古屋で行われた日本との2国間会談(写真=左がスリランカ大統領、外務省ホームページから引用。内閣広報室提供)で、両首脳はインド洋の重要なハブとしてスリランカの港湾開発の重要性で一致した。安倍晋三首相は、コロンボ港や周辺開発で官民挙げての協力を継続すると表明したが、コロンボ港の開発事業については現在、中国企業が整備事業を進めているという。