サウジアラビアでは現在、国営石油会社のサウジアラムコや、石油化学会社のSABICが国内外でエネルギー関連のプロジェクトを積極展開している。いくつかのケースを取り上げる。
サウジアラビアの南西端に位置する工業都市であるジーザーン。ここで最近、世界最大規模の工業用ガス複合施設(コンプレックス)の建設プロジェクトが着工した。7月20日付のサイト『ザウヤ』などによると、サウジアラムコと契約した米エアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズ(ペンシルベニア州)とACWAホールディングス(サウジ)の合弁企業(JV)が運営するという。製造能力は、酸素が日量2万トン、窒素が同5万5,000トンで、サウジアラムコが保有する製油所(精製能力は日量40万バレル)に20年間にわたり、供給するとしている。2018年の稼働開始を目指している。
また、サウジアラムコは7月20日、ファーデリ天然ガスプロジェクトで、エンジニアリング企業4社と契約を締結したと発表した。契約額は計133億ドル超で、2019年の完工を予定する。ファーデリ・プロジェクトが完成すると、サウジアラビアの天然ガス生産量は2020年までに日量約170億立方フィート気圧(Scf)にまで増加する見通しだ。ファーデリ・プロジェクトでは、1,500万メガワット(MW)の発電プラントを建設する予定だ。このうち、400MWが天然ガス処理向け、1,100MWが国内の送電網向けとなるようだ。
このほか、SABICが7月25日、米エクソンモービルの子会社と米国で石油化学の複合施設を建設するための合弁企業(JV)設立で検討に入ったと発表した。現時点で建設場所は未定だが、SABICは候補地としてテキサス州かルイジアナ州を挙げている。石油から高収率で生産可能なスチームクラッカー(エチレン製造装置)などを建設する。両社は今後、該当する州政府と建設地選定で調整に乗り出し、最終投資決定(FID)を実施する見通しとしている。