米エクソンモービルがこのほど発表した4-6月期(第2四半期)の純利益は前年同期比59%減少となり、引き続き原油安の影響が痛手となった。一方、厳しい市場環境にある中、エクソンが世界各地で反転攻勢に出る動きも目立っている。
ノルウェー石油管理局(NPD)は7月11日、エクソンモービルに対し、ノルウェー沖合のバルダー油田の鉱区開発を認可したと発表した。原油はバルダーFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産・貯蔵・積出施設)で生産され、タンカー輸送されるという。バルダーFPSOでは、2015年にバルダー油田の原油日量3万3,000バレル、リングフォーン油田の原油同1万5,000バレルの計4万8,000バレルが処理された。エクソンはこのほか、ノルウェー石油安全局(PSA)から新規の海底油田の開発許可を得ている。
エクソンとサウジアラビアとの関係も強化されているようだ。7月7日付のサイト『ハイドロカーボン・プロセッシング』などによると、エクソンとサウジアラムコは、それぞれ独自開発したスチームクラッカー(エチレン製造装置)が、原油から軽質オレフィンを精製する際に、これまでのようなプロセスを経ずに、OTC(オイル-トゥ-ケミカルズ)と呼ばれる手法で実施できるようになったという。調査会社によると、OTCによって、エチレン製造コストを1トンあたり200ドル引き下げられるとの試算も出ている。
サウジ関連ではこのほか、石油化学大手のSABICが7月25日、エクソンモービルの子会社と米国で石油化学の複合施設を建設するための合弁企業(JV)設立で検討に入ったと発表済みだ。現時点で建設場所は未定だが、SABICは候補地としてテキサス州かルイジアナ州を挙げている。石油から高収率で生産可能なスチームクラッカーなどを建設する。両社は今後、該当する州政府と建設地選定で調整に乗り出し、最終投資決定(FID)を実施するとしている。
このほか、エクソンは7月21日、パプアニューギニアを拠点とするエネルギー開発企業のインターオイルを25億ドル(最大36億ドル)で買収することに合意したと発表した。当初、オイルサーチが22億ドルで買収する方向で動いていたが、結果的にエクソンの買収額が上回った。同日付の『ニューヨーク・タイムズ』によると、今回、エクソンが買収する資産には、6鉱区(総面積は400万エーカー)、エルク・アンテローペ天然ガス田が含まれるという。