アゼルバイジャン国営の石油・天然ガス会社であるSOCARが、カスピ海沖合で、石油・天然ガスの増産に取り組む計画を示している。また、SOCARがオーストリアOMVのトルコ子会社を買収する動きが伝わっている。(写真はSOCARのHPから引用)

6月6日付のサイト『AZERNEWS』などによると、SOCARはこのほど、カスピ海沖合のグナシリ石油・天然ガス鉱区で、同社7番目となるプラットホームを建設する意向を明らかにした。独自に設計から建設業務を担うが、これは同社にとって初めてのケースだ。このプラットホームは、14油井、6ガス井の計20井を掘削できるようにつくられる見通しで、生産能力は1油井あたり原油100トン、1ガス井あたり天然ガス15万立方メートル、コンデンセート15トンを見込む。総投資額は1億2,000万ドルに上るとしている。

一方、SOCARは、OMVのトルコ子会社(OMVペトロール・オフィシィAS)の買収を検討している。6月3日付のサイト『ペトロール・ワールド』などが報じた。それによると、OMVペトロールは現在、トルコで燃料にかかわる配送や潤滑油事業を展開しているが、SOCARが買収に興味を示しているとした。OMVは非中核部門の事業再編に乗り出しており、今回のトルコ子会社売却はその一環のようだ。

アゼルバイジャンでは近年、国内における石油関連施設の老朽化などによる原油輸出量の減少や、プロジェクトの大幅な遅れが問題視されてきた。また、石油プラットホームにおける火災事故で、多くの死傷者を出すなど、作業時の安全管理が求められるなど、エネルギー開発事業で抜本的な改善策に取り組む必要性があり、とりわけ、海外企業との連携が喫緊の課題となっている。

本サイト(2016年6月15日付)で取り上げたように、中国石油天然ガス集団(CNPC)がこのほど、アゼルバイジャンの製油所・石油化学プロジェクト(OGPC)への投資を検討していることが判明した。このプロジェクトは、アゼルバイジャンの首都バクーから約60キロメートル離れた場所で、3つの製造企業とともに発電プラントを設置するというもので、建設コストは171億ドルを見込む。6月2日付のサイト『トレンド』などが伝えた。このほか、インドやロシアが、アゼルバイジャンとエネルギー開発分野で関係強化に乗り出している。