「原油安ショック」シリーズの第37弾―油価低迷を反映し、世界のエネルギー企業で厳しい経営を強いられている。探査権の売却、油田操業の停止、投資削減や人員削減といったニュースが目立っている。

石油・天然ガス開発を手がけるカナダのタワー・リソーシズは、南アフリカの沖合で展開する超深海鉱区(SWオレンジ海盆)の探査権を英ニュー・アフリカン・グローバル・エナジーに5億ドルで売却する。開発コストの上昇を売却理由とした。2月16日付のサイト『モーニングスター』が報じた。

2月18日付のサイト『チャイナ・デイリー』によると、中国石油化工(SINOPEC)が、山東省に位置する勝利油田地帯において、収益性の低い4つの油田で操業を停止するもようだ。同社による約50年に及ぶ生産活動で、操業停止に至るのは、今回が初めてという。

一方、投資削減を余儀なくされる企業も目立つ。原油安を受けて、仏トタルは2月11日、2016年の設備投資額を前年比15%減の190億ドルにすると発表した。英タロー・オイルも2月10日、16年の設備投資額を前年比35%減の11億ドルにすると発表。ただ、今年夏場に稼働予定のアフリカ・ガーナ沖TEN(原油)開発プロジェクトに対する6億ドルの投資は実施する意向を示した。

このほか、ベネズエラではマドゥロ大統領が2月17日、ガソリン価格を20年ぶりに引き上げると発表した。これによって、年間ベースで8億ドルを捻出できると試算している。また、米デボン・エナジーは2016年第1四半期(1~3月期)に、全従業員(約2,500人)の20%に当たる400人規模の人員削減を実施する予定だ。合理化の推進で、年間4~5億ドルの経費削減につながると見積もる。